検索窓
今日:1 hit、昨日:7 hit、合計:24,547 hit

別れ ページ6

急いで駆けつけると、
「A、御守り代わりだ」
懐から、キラキラと光る紅色の石の首飾りをくださった。
石は半透明で、太陽にかざしても、影の中で見ても、光を放っていて美しいが……
「コーガ様……これ……! 大事にしていたものでは……!」
コーガ様が大切に隠し持っていたことを、私は知っていた。
いつも寝床に着くまえに写真立ての横に置いて、手を合わせる。見慣れていた動作だった。
「そんな高価な物を私にだなんて……! いけません、これはコーガ様がお持ちください! 私のようなただの部下には不釣り合いです!」
気持ちは嬉しい。だが、私が任務に失敗して、それにこの首飾りまでも壊してしまうのを、想像してしまったのだ。
そうなったら見事に私の存在も、この首飾りも、無駄になる。無残に消えていく。
「いや、これは総長からの命令だ。持っていくのだ」
渡した首飾りが、また手に戻ってきた。しかし命令ならば、逆らう事は決して許されない。しかしこれが贈り物なのだと思うと、ふっと心が暖かく感じた。
「……はい……! 有り難くいただきます……!」
そう行って首に付けると、キラリと石が輝いた。と同時に力がみなぎってくる感覚が体全体に行き渡ったのだ。
「フハハ! 驚いたであろう? これはただの御守りではないぞ!……さぁ、勇気を出して向かうのだ!」
コーガ様はドンと私の背中を押し出した。と同時に足は大きく走り出す。
私は振り向かぬまま、コーガ様から背を向けてハイラル城へ走った。


ハイラル城下町に辿り着くと、肩はこり音楽までもが五月蠅く感じた。
かなり急いだ分時間はあと1時間あるので、噴水に腰掛けて水筒を飲み干した。
後はハイラル城で何とかなるだろう。
……それにしても、綺麗な場所だ。
整備された家や噴水に、花壇に広がる花々。おもわずほぅと感嘆のため息をついてしまう。
……だが、これはハイラル王が作ってきた物だと思うと、一気に憎らしく思えた。
すると、後ろからA様!と声を掛けられた。誰だろうと立って振り返ると、そこにはハイラル王の召使いが、ずれた眼鏡を直しながら走ってきている。
背は小さく、髭は長いし、真夏日だというのに長袖という格好に驚いた。
「これはこれは、遠い所からありがとうございます」
「いえ、此方こそゼルダ様の護衛騎士という任務を与えられて、光栄です」
握手をサッと交わすと、ハイラル城の中の控室へ連れて行ってくれた。

ハイラル→←旅立ち



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (39 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
28人がお気に入り
設定タグ:ゼルダの伝説 , ブレスオブザワイルド , 夢小説   
作品ジャンル:ファンタジー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:rikorisu | 作成日時:2020年3月25日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。