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避けるようになってから、渉の顔を見ることは凄く苦痛だった。
クラスメイトの子と渉が約束していた、水曜日を過ぎてからは更に地獄の様な毎日で。
今まで以上に避けていた。
そうでもしないと、目が合って話してしまえば、いつもと変わらないあの声で
「“ A、俺、彼女できた ”」
そう言われてしまうような気がしたから。
今日も頭の中で延々と渉のことを考える。
下駄箱で靴を脱いでいると、大好きであり、大嫌いな人の声。
「なあA」
避け始めてから毎日のように話しかけられる。
今はその声すら聞きたくない。
早く教室に行こう、と足を進めた。
…つもりだった。
気付けば私は彼の腕の中にいて、動けないようにしっかりと抱きしめられている。
いつもは身長が低いことをコンプレックスにしている渉だけれど、後ろから抱きしめられているとやっぱり身長が高く、
「(…あぁ、やっぱり私、この人が好きだ)」
「ちょっと来て」
愛しい声でそう言われると、私はどうも抵抗ができなくて、薄暗い階段の影まで連れて行かれる。
手を引く彼に連れていかれるがまま、来たのに。何も言わない。
「…なに」
「なんで避けてんだよ」
「別に、避けてない」
嫌なはずなのに、苦痛なはずなのに、
「嘘つけ。目ェ見て話せ。」
私の頬を両手で挟み、焦点を合わせて来る彼がどうしようもなく好き。
ただ、少し怒りを含んだこんな低い声は聞いたことがなかった。
ぶっきらぼうだけれど、どこか優しさの混じったような、あの声とは程遠い。
「避けるとかマジでなんなの?今までずっと仲良くしてきたじゃん。」
「だって、それは渉が他の女子と出掛けるからじゃん。こんな独占欲、知られたくなかった…っ
好き。好きなの、ずっと。中学生の時から。
気付け、バカっ…」
その瞬間、驚いたような表情をして強く抱きしめられる。
ふわっ、と渉の香りが鼻を掠める。
「俺だって、お前が好きだ…ずっと。
独占欲なんか俺の方が強いに決まってんじゃん。
お前が男と…
…っだああ!!とにかく、二度と俺から離れんな。」
…
「じゃあなんであの子と約束してたの…」
「あぁ。妹とあいつの妹が仲良しで、遊びに行く約束しとけって言われたんだよ。」
勘違いかと気を落とすとともに私の独占欲に少し感謝をしました。
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わんぱく彼氏の弱音【と/な/り/の/坂/田/。】→←独占欲【う/ら/た/ぬ/き】
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こっとん(プロフ) - ゆるさん» コメントありがとうございます♪ 更新続けさせていただきます!!マイペースに頑張って行きますので、続編もよろしくお願いします! (2019年1月25日 17時) (レス) id: 76e3d99d4e (このIDを非表示/違反報告)
こっとん(プロフ) - しゅがー@こたぬきさん» コメントありがとうございます〜 ああああ温かいコメントが元気の源です… 頑張りますので、どうぞこれからもよろしくお願いします! (2019年1月25日 17時) (レス) id: 76e3d99d4e (このIDを非表示/違反報告)
ゆる(プロフ) - たのしんでるので、がんばって更新続けてください!もちろん自分のペースでゆっくりゆっくり・・・私はいつまでも待ち続けますよ! (2019年1月23日 21時) (レス) id: 8533be78e2 (このIDを非表示/違反報告)
しゅがー@こたぬき - 面白いです!いい作品で読んでいて楽しいです!無理せずに頑張ってください! (2019年1月23日 20時) (レス) id: 1f604a1e22 (このIDを非表示/違反報告)
こっとん(プロフ) - ハゲつるマン@19830617さん» わわっ、ハゲつるマンさんからコメントが!???!めちゃくちゃ嬉しいです、、!なるほど、そういった考え方もあるんですね。もう少し考えてみます、貴重なご意見ありがとうございましたm(_ _)m (2019年1月23日 20時) (レス) id: 76e3d99d4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こっとん | 作成日時:2018年10月11日 17時