月夜に咲く花 FirstSeason

18話　貧血 ページ19

コナンside

　屋上に出てみるが、ワイヤーなどどこにもなかった。だったら一体奴はどうやって宙に浮いているのか…俺が考えていると、キッドは「オホン…」と咳ばらいをした。

快斗「Ladies and Gentlemen!!さあ、今宵の前夜祭…我が肢体が繰り出す奇跡を…とくと御覧あれ…」

　そうして怪盗キッドは一歩足を前に出して…歩いた。このままここにいても意味がないと感じた俺は、急いで階段を下りた。



凛音side

　視界が揺れだしたと思ったらすぐに目の前が真っ白に染まってしまい、私はビルにもたれかかるようにして座り込んだ。貧血を起こしたようで、耳鳴りまでする。さすがにこの状態じゃコナン君追いかけられないなぁ、と思っていると……

コナン「凛音さん⁉」

　ビルから出的であろう新一が座り込んでいる私に気づいたらしい。…さっきよりも良くなったが、視界はぼやけていて新一の顔が判別できなかった。私が無理やり笑顔を作って「いつものことだから大丈夫、キッドを捕まえるんでしょ…?」と呟くと、新一は

コナン「ちょっと待っててね、凛音さん」

　その言葉を聞くと同時に、真っ白だった私の視界は真っ黒に染まった。



コナンside

　座り込んだまま意識を失った凛音さんを支えると同時に、昔の記憶が蘇ってきた。
っと、そんなことを言ってなつかしさに浸っている場合ではない。凛音さんにも言われたんだ、さっさとキッドを捕まえねえと…俺はキック力増強シューズのダイヤルを回した。だが、チラリと俺の方を…いや、凛音さんの方か?とにかくこちらを見たキッドはシルクハットを深くかぶって…

快斗「さて、前夜祭はここまで…明晩20時、再び同じ場所でお会いしましょう…」

　そういって、空中で消えた。

　いろいろあるけど…まずは凛音さんのところに行かねえとな…俺は凛音さんのところまで走った。…彼女には、聞かなきゃならねえこともあるしな…

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