褪せない今日より見えない明日で【高尾和成】2

Good Old Days 046 ページ12

　綺麗に横一列に並んだ新入生はこれからの自分の伸び代への期待と強豪で生き残れるだろうかという不安と目の前で物騒なことを言う部長に対しての緊張の入り混じった表情をしていた。


　私は1年生が名前、身長体重、出身校、希望のポジションを言っていくのを聞き逃さないよう注意しながらに用紙に記入していく。


　緊張からか、声が裏返っている子もいる。あー皆若いね、若い子可愛いね。


　全員の自己紹介が終わった時点で、隣でボールをいじくり回している裕也さんに話しかける。


「キャプテン、1年生若々しくて可愛いですね。私も1年前あんな可愛かったのかな？」


「いや全然」


「あーなんか後輩可愛い、何で1年遅く産まれただけでこんな可愛く見えるんだろ。和成もそう思わない？」


「な。『高尾先輩』とか呼ばれたらマジヤバいよな、ホントヤバい」


　そう、新入部員は本当に可愛い。和成から『ヤバい』以外の語彙を奪ってしまうくらい。


　ウチの部に入って来る男子なんて、いかつくてゴツいのばっかりだけど、1度「こんなおっきくても年下なのか〜」


と思ってしまえばもうタスマニアデビルを凌駕するキュートフェイスに見えてしまう。


　そんなことを考えている傍ら、豚の角煮を脇に抱えた真太郎が部長に怒鳴られていた。


　真太郎はシュンとした顔で謝罪したが、「ゴメンで済んだらケーサツいらねえだろうがッッ」と言われてしまっていた。


　……いや、怒られて落ち込んでる真太郎も可愛いよ！ 折角なので角煮は私がいただかせてもらった。絶品だった。


　結局、“可愛い”に年齢差は関係ないのかもしれない。



　

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