褪せない今日より見えない明日で【高尾和成】2

Good Old Days 045 ページ11

　ヲタクな格好をした3年の先輩達。1・2年の面々はあんぐりと口を開けたり、抱腹絶倒とばかりに笑い転げたりと各々がリアクションしている。


　当日の予定を知ってるであろう司会の2年生も驚いていたから、多分ヲタ芸の特訓はほんっとうに3年の間でだけ秘密裏に行われていたんだろう。


「えー、では、予定を変更致しまして、プログラムナンバー8『愛するフォーチュンケーキ〜TKG48〜』と、プログラミングナンバー11の3年の演物を合体してお送りさせて頂きます」


　暫くは混乱状態だった脳味噌を切り替えると、ふと先程の宮地さんの言葉が頭に過ぎった。


――それにドルヲタだってバレるのも、どーせ時間の問題だ。


　……ああ、あれってこういう意味だったんですね。


　なんとなく脱力してしまって、膝の力が抜けた。それをそばにいた裕也さんが抱えてくれる。


「……あ、すみません」


　いや別に大丈夫だと言ってから、裕也さんはボソッと呟いた。


「……こんな完成度高いロマンス修得するより、受験勉強してろよ」


　全くそのとおりすぎて笑った。


　舞台上で顎ハートする真太郎と、華麗なバク転を決める和成と、ロザリオをする宮地さん。


　私達は、涙が出るほど笑い転げた。


―――――――

おまけ

「てか、AもTKG48好きなの今更知ったわ。推しメン誰？」


「いやー、このくらいの歳になると、若い子が頑張ってるのってみんな可愛くて推しとか決められないんですよねー」


「おばさんかよ」


　引退式が終わった後、少しだけ3年の先輩と喋った。


　因みに2年生は「水分補給だ」のネタを、中谷監督ら先生方は何故かコイン落としを披露していた。裕也さんの「ﾁｯｶﾞｳ！！」ビンタは圧巻の一言。


　ビンタされた部員は7メートル先まで吹っ飛んでいった。


　裕也さん、バスケ部でいいの？？？ ビンタ部行きます？ 全国大会優勝狙えますよ。


　いやバスケ部から新キャプテンを手放すわけにはいかないしそもそもこの学校にビンタ部などないのでやっぱりバスケ部でいてください。


「オレ、来年からは絶対裕也さん怒らせないわ……」


　自分がビンタされたわけでもないのに頬を摩りながらそう言った和成は、きっと来年もキレられまくるんだろう。


　

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