Youth 006 ページ7
結局、酔いつぶれた和成を家まで送り届けるハメになった。
和成の家は、会社から3駅程離れた場所だ。
電車の中で、和成が膝枕をせがみだすもんだから、凄く恥ずかしかった。
多分残業終わりで疲れ果てているであろうサラリーマンが、私達の横を通り過ぎる際に
「リア充爆発しろ」
と呟いていたのがばっちし聞こえたので、いたたまれない気持ちになった。
そんなこともあって、私は横でフラフラと歩いている和成を恨めしい気持ちで睨む。
私の視線に気付いていないのか、和成は
「あ、オレのマンションこっち……」
だとか言っている。
え、嘘でしょここ高級物件じゃん。高級で駅近で会社へのアクセスもバッチリで高級でおまけに都心への移動も楽で綺麗で、あと高級。なんか、私とは偉い差だ。
「……部屋まで連れてって、A……」
和成が甘えるような声で言う。クソぅ、やっぱり彼のこの声に弱いのは、昔から変わっていないみたいだ。
でも、すぐに承諾してしまうとそのことを認めてしまうようで癪だから、少し渋ってから努めて「別に私は情けない和成のためについて行くだけですけど?」感を出す。
「しょうがない、連れてってあげてもいいよ」
「Aって意外とツンデレだよな」
「ツンデレは真太郎でしょ、キャラ被っちゃうよ」
到着音が鳴ると、一緒にのっていた女の人がそそくさと出ていった。
まあでも、もう和成の部屋の前についたのであとは私は帰るだけ。
「じゃあね、ちゃんと鍵掛けてよ」
和成を家の中に押し込んで、そう言った。
さて、私は退散しようかとくるりと後ろを向いた時だった。
「ちょ待てよA。今から女一人じゃ危ねえよ?」
いや和成のテンションどした? ちょ待てよ、て。明日、LINEでからかってやろ。
「そうだけど、帰らないわけにはいかないでしょ? てゆうか私のイコカ代返してよね」
ケチくさい私の言葉を聞くなり、和成はニヤッとした。
きくなりかずなり、って語呂いいな。とか思ってた私は甘かった。
和成から発せられる言葉を知っていれば、イコカ代とかケチらずさっさと退散していた。バカバカ、私。貧乏人魂ここで発揮してどうすんのよ。
「オレんち、泊まってってよA」
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ふなふね - 猫さん» コメント感謝です! 思い入れ結構あるので歓喜しております。 (2022年4月24日 17時) (レス) id: 350748c4de (このIDを非表示/違反報告)
猫 - 私もっと高尾君が好きになりました。 私この作品大好きです!続きが楽しみです! (2022年4月17日 16時) (レス) @page47 id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
猫 - すみません!友達になろうのコメントいとこがわざと書いたんです!なのできにしないでください!・・・でもこれからもわたしのさくひんよんでくださるとこうえいです! (2022年4月17日 9時) (レス) id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
ふなふね - 猫さん» ありがとうございます! とっっっっっっっても励みになります。ぜひコメントさせていただきますね。 (2022年4月16日 14時) (レス) id: 350748c4de (このIDを非表示/違反報告)
猫 - とても面白いです!・・・どうしたらここまで面白くなるの!?・・・・アドバイスがほしいのでできたらでいいのですが、私の作品「ダシャレが私たちの運命を」のコメントコーナで教えてください!(ちなみに多分、占いツクール 黒子のバスケででで来ると思います!) (2022年4月16日 13時) (レス) @page10 id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふなふね | 作成日時:2021年9月29日 19時