Good Old Days 029 ページ42
「アタシのアオハルは〜」
サツキさんが喋り始めて大分経った……と思ったけど森山さんの腕時計を盗み見たらまだ1分しか経ってなかった。嘘でしょ？
隣の彼は、退屈そうに欠伸をしている。少しは話を聞いている素振りを見せる努力をした方がいい。
森山さんが足元の小石を蹴った時、ようやくサツキさんは私達が話を聞いていないことに気付いたらしく「失礼な子達ね」と憤慨する。
「私聞いてました。戦時中、いけないことだと分かっていながらも、人様の畑からモロヘイヤを盗み続けたんですよね？ 続きが気になります」
正直、私もマトモに聞いていなかったので、イチかバチか本当にモロヘイヤの話をしていた可能性にかけて適当に当てずっぽうで話を捏造してみる。
「えっそんな話してたの？ ちょっと気になる」
「してないわよ」
ああ、外れた。ザンネン。
「アタシはね、アンタらの年頃には、バスケ部だったのよ。将来を期待される有望な選手よ。だけど、引退前の最後の試合の直前、脚に異常が見つかって」
自分で有望とか――なんて、ツッコむべきかツッコまぬべきか。そんなこと考えていた。
「軽くはないけど、入院して、安静にしてれば治るはずの異常。よせば良いのにアタシったら、試合当日に病院を抜け出して会場に行ったのよ」
思わず、息を飲む。サツキさんは、一瞬悔しそうに口元を歪め、すぐにまた顔を戻した。
「まあ、当然バレて病院へ連れ返されそうになったんだけど、泣きじゃくって抵抗したの。せめて最後まで試合を見ていたい、って」
一旦、そこで話は区切られた。なんだか、私まで胸が痛くなるような話だ、そう思った。開いた本を顔の上に被せて寝ている森山さんには、分かんないんだろうか。
「病院を抜け出したりしなきゃ良かった、大人しく連れ返されれば良かった、って大人は言ったよ。アタシも、娘か息子がそんな馬鹿なことしたらおんなじこと言う」
「じゃあ、なんで、」
もしかしたら、踏み込んじゃいけないのかもしれない、だけど。聞かずには、いられない。
サツキさんは、にっこり笑って
「それは多分、あの時の自分にしか分からない――いや、きっとアンタも同じ状況になったら分かるね。理屈じゃないんだよ、ただ」
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ふなふね - 猫さん» コメント感謝です! 思い入れ結構あるので歓喜しております。 (2022年4月24日 17時) (
レス) id: 350748c4de (このIDを非表示/違反報告)
猫 - 私もっと高尾君が好きになりました。 私この作品大好きです！続きが楽しみです！ (2022年4月17日 16時) (レス) @page47 id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
猫 - すみません！友達になろうのコメントいとこがわざと書いたんです！なのできにしないでください！・・・でもこれからもわたしのさくひんよんでくださるとこうえいです！ (2022年4月17日 9時) (レス) id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
ふなふね - 猫さん» ありがとうございます! とっっっっっっっても励みになります。ぜひコメントさせていただきますね。 (2022年4月16日 14時) (レス) id: 350748c4de (このIDを非表示/違反報告)
猫 - とても面白いです！・・・どうしたらここまで面白くなるの！？・・・・アドバイスがほしいのでできたらでいいのですが、私の作品「ダシャレが私たちの運命を」のコメントコーナで教えてください！(ちなみに多分、占いツクール 黒子のバスケででで来ると思います！) (2022年4月16日 13時) (レス) @page10 id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふなふね | 作成日時：2021年9月29日 19時
