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Youth 012 ページ13




「今日はあんがと。真ちゃんの意見聞いて、何か落ち着いた? 気がするわ」


「そうか」


 真ちゃんは、それだけ言ってお勘定のために席を立ったので、オレもついて行った。


 店の外に出ると、高尾、と名前を呼ばれた。何? と返すと、真ちゃんはぎりぎり聞こえるか聞こえないかくらいの声量で呟いた。


「久しぶりに会えて、……楽しかったのだよ」


 これを聞いて、思わずにんまりと笑ってしまった。真ちゃんマジツンデレ。


 Aに話したら、きっとオレと同じように笑ってくれるだろう。多分。


「真ちゃん、大学どう?」


「どうもこうも。とりあえずは卒業試験が終わったので、息抜きだ。そうでなければ誰がお前の相手などするか」


「ヒドッ」


 言葉では批難してみるものの、こういうやり取りを緑間とすること自体懐かしくてつい表情が緩んでしまう。


 オレは、今なら行けるかもと、何でもないフリして一番聞きたかったことを聞いた。


「真ちゃんはさ――まだ、バスケしてる?」


 緑間の眉がピク、と上がる。その後、ハァとため息をついて、バカめと悪態をついた。


「やりたいのはやまやまだが、時間が取れない。近くにバスケットコートがなくてな」


 バスケから離れた真ちゃんには、何とも言えない気持ち悪さを感じる。


 いや、昔から医者を目指して勉強とか頑張ってたのは知ってるんだけど。


 高校時代だったら、テスト期間でも体育館使用禁止令が出されても、「関係ないのだよ」と言ってシュート練を欠かさず行っていたのに。


 まあ真ちゃんも大学生で、家を継ぐためにあくせく勉強してるんだからもうバスケを離れたのだってとても当たり前なこと、か。


 頭の中でそう結論付けて、オレはまた何でもないふうに(・・・・・・・・)答えた。


「ほーん。オレのマンションの近くにコートあるから、真ちゃんいつか来てよ。また一緒にバスケしよーぜ。あ、そうだ、Aも呼んでさ」


 真ちゃんが、大きく目を開いた。


 何に驚いているのか一瞬分かりかねたが、ああ、そうか。彼には伝えてないんだっけ――と、彼の口から紡がれた言葉によって理解した。


「高尾、お前――目は、もう大丈夫なのか」


 

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設定タグ:黒子のバスケ , 高尾和成   
作品ジャンル:アニメ
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ふなふね - 猫さん» コメント感謝です! 思い入れ結構あるので歓喜しております。 (2022年4月24日 17時) (レス) id: 350748c4de (このIDを非表示/違反報告)
- 私もっと高尾君が好きになりました。 私この作品大好きです!続きが楽しみです! (2022年4月17日 16時) (レス) @page47 id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
- すみません!友達になろうのコメントいとこがわざと書いたんです!なのできにしないでください!・・・でもこれからもわたしのさくひんよんでくださるとこうえいです! (2022年4月17日 9時) (レス) id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
ふなふね - 猫さん» ありがとうございます! とっっっっっっっても励みになります。ぜひコメントさせていただきますね。 (2022年4月16日 14時) (レス) id: 350748c4de (このIDを非表示/違反報告)
- とても面白いです!・・・どうしたらここまで面白くなるの!?・・・・アドバイスがほしいのでできたらでいいのですが、私の作品「ダシャレが私たちの運命を」のコメントコーナで教えてください!(ちなみに多分、占いツクール 黒子のバスケででで来ると思います!) (2022年4月16日 13時) (レス) @page10 id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふなふね | 作成日時:2021年9月29日 19時

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