Good Old Days 004 ページ17
「日田ちゃぁん、どした? 急に考え込んじゃって」
はっと気付くと、目の前には高尾君のお顔。
急に声をかけられたことによって、私は意識の矢印を先週の出来事から今へと方向転換させた。
「ああ、何でもない。ちょっと、やっぱいつ見ても凄い画づらだなって。ほら、リアカーに緑間君が乗ってるのが……ねぇ。ふふふ」
「……む」
決して嘘ではない。敗北の日のことを考える前は、リアカーと緑の彼とのミスマッチさのことに笑いを忍ばせていたのだから。
誰に向けてでもないわけでもない言い訳を、心の中でする。
「日田」
「んー?」
教室へ続く道で、緑間君が口を開いた。
「……先週は、見苦しい姿を見せたのだよ。すまなかったな」
果たしてそれは、1人で試合会場の外へ出て涙を流していたことか、お好み焼きを頭から被り激怒したことなのか、それとも「ぁあ?! ケータイが……壊れたのだよ……防水じゃなかったのだよ……」と情けない声をあげていたことか。
携帯電話が壊れたことなら心配しなくてもいい、SIMカードが無事なら新しい携帯電話に乗り換えたとしても引き継ぎ出来るよ知らんけど、と伝えておいた。
「そうじゃないのだよ! それと、高尾の前でその話をするな!!」
焦る彼の懸念は杞憂に終わらず、高尾君がにんまりと笑う。
それから教室に着くまでの間、高尾君と私はずっと笑った。
ひと通りからかって満足したらしい高尾君は、話しかけて来たクラスメートの方へ向かった。
多分、言うなら緑間君が1人な今しかないだろうな。私はタイミングを見計らって、彼の席の前に立つ。
「緑間君の言いたいこと、分かってるから大丈夫だよ。まだまだ私はベンチマネージャーにもなれてないけど、選手を支えるからね」
すると緑間君は、照れくさそうにカチャカチャと眼鏡を押し上げて、「フン、マネージャーとして、人事を尽くしているようだな」と言った。
私の今の気持ちを高尾君風に言うのならば、真ちゃんマジツンデレ、といったところであろうか。
とにかく、高尾君も緑間君も、今朝ほどのぎこちなさは取れたようだ。
え〜真ちゃん女子と2人で何喋ってたのぉ〜? と絡む彼らを見て、マネージャーとしてのミッションを完了した達成感に包まれていた。
Good Old Days 005→←Good Old Days 003
32人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふなふね - 猫さん» コメント感謝です! 思い入れ結構あるので歓喜しております。 (2022年4月24日 17時) (レス) id: 350748c4de (このIDを非表示/違反報告)
猫 - 私もっと高尾君が好きになりました。 私この作品大好きです!続きが楽しみです! (2022年4月17日 16時) (レス) @page47 id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
猫 - すみません!友達になろうのコメントいとこがわざと書いたんです!なのできにしないでください!・・・でもこれからもわたしのさくひんよんでくださるとこうえいです! (2022年4月17日 9時) (レス) id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
ふなふね - 猫さん» ありがとうございます! とっっっっっっっても励みになります。ぜひコメントさせていただきますね。 (2022年4月16日 14時) (レス) id: 350748c4de (このIDを非表示/違反報告)
猫 - とても面白いです!・・・どうしたらここまで面白くなるの!?・・・・アドバイスがほしいのでできたらでいいのですが、私の作品「ダシャレが私たちの運命を」のコメントコーナで教えてください!(ちなみに多分、占いツクール 黒子のバスケででで来ると思います!) (2022年4月16日 13時) (レス) @page10 id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ふなふね | 作成日時:2021年9月29日 19時