Good Old Days 002 ページ15
自転車置き場に見慣れた背中……というより、目立つ緑の髪とリアカーを見かけたので、さっと近づいて挨拶をしに行く。
そう、彼らが乗っているのは自転車にリアカーをつけた物。緑の大男がリアカーに乗っているのは、いつ見ても凄い画づらである。
もう、入学して2ヶ月以上経つのにね。
「おはよ、緑間君と高尾君」
「おー、おっはよー日田ちゃん!」
「おはようなのだよ、日田」
挨拶を返した彼ら。ていうか挨拶にまでなのだよつけるってどういうことなのだよ。
高尾君も同じことを思ったらしく、「うっは、なのだよって挨拶にもつけんのかよ」と笑う。
だけどいつもよりも、元気が足りない気がする。
そりゃそうだ、まだ吹っ切れる訳ないよね。
私達秀徳高校は、出場確実とまで言われたIHで、予選負けした。
全員、全力を出して戦った。
私は、マネージャーではあるもののまだ1年だからベンチマネージャーではないから、応援はいつも客席からだ。
そこからでも、コート上の10人の気迫は充分に伝わってきた。
試合後、緑間君が1人で外に出ていたので、私は気になって後を追いかけた。
「日田、お前も泣きそうなくせに無理すんなよ」
と、声をかけてくれた宮地さんの気遣いや、あえて何も言わないでくれる木村さんの優しさにその時気付いた。
外に出ると、緑間君がいた。
雨に打たれる彼と、目が合ってしまった。ヤバ、と思って植え込みに逃げたけど、絶対バレてる。
「何をしてるのだよ、日田」
案の定、眉間に皺を寄せた緑間君に見つかってしまった。
「……緑間君みんな探してた。から、帰ろ。私、お好み焼き食べたいから奢ってよね。今月お小遣いピンチでさ」
ちょっと声が震えてしまった。泣きそうなことを勘付かれないか不安になる。
「み、宮地さんからタオル貰ったから……拭いて?」
「感謝する」
きっと、泣きたい私に気づいてる。それでも何も言わない緑間君は冷たいと言われるだろうが、それは彼なりの優しさなんだよ。
「日田」
「ん?」
「非常に言いにくいのだが、その……タオルがびしょ濡れで、拭いても意味ないのだよ」
言われてみればそりゃそうだがそこまで頭が回らなかった。盲点。
私と緑間君は顔を見合わせて笑った。
その日、私と緑間君は、初めて心が通った、気がした。
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ふなふね - 猫さん» コメント感謝です! 思い入れ結構あるので歓喜しております。 (2022年4月24日 17時) (レス) id: 350748c4de (このIDを非表示/違反報告)
猫 - 私もっと高尾君が好きになりました。 私この作品大好きです!続きが楽しみです! (2022年4月17日 16時) (レス) @page47 id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
猫 - すみません!友達になろうのコメントいとこがわざと書いたんです!なのできにしないでください!・・・でもこれからもわたしのさくひんよんでくださるとこうえいです! (2022年4月17日 9時) (レス) id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
ふなふね - 猫さん» ありがとうございます! とっっっっっっっても励みになります。ぜひコメントさせていただきますね。 (2022年4月16日 14時) (レス) id: 350748c4de (このIDを非表示/違反報告)
猫 - とても面白いです!・・・どうしたらここまで面白くなるの!?・・・・アドバイスがほしいのでできたらでいいのですが、私の作品「ダシャレが私たちの運命を」のコメントコーナで教えてください!(ちなみに多分、占いツクール 黒子のバスケででで来ると思います!) (2022年4月16日 13時) (レス) @page10 id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふなふね | 作成日時:2021年9月29日 19時