5話 怒声と称賛 ページ7
「こんの...馬鹿A！！！」
『痛い！！？』
場所は変わって、美味しそうな匂いが鼻を擽る此処は広間である。
人数分の食事が陳列された長机の端...所謂お誕生日席で、つい先ほど鈍い打撃音が響き渡った。
頭を抱えて畳に突っ伏しているAを、怒りに満ちた表情で見下ろしているのは言わずもがな、薬研藤四郎である。
振り下ろした拳骨が小刻みに震えているのを見たところ、彼の怒りは相当なものであった。
「何勝手に怪我してんだ！！
何勝手に殺してくれ発言してんだ！！
馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが...予想を上回る大馬鹿だったようだな！！？」
『な、何も殴ることないじゃないッスか...』
Aたちが広間に帰って来て、薬研と鶯丸は事のあらましを山姥切から聞いた。
Aが自ら刃を掴んで傷を負ったこと＿＿＿
刀剣...鶴丸国永と交わした約束のこと＿＿＿
未だ、怒り心頭といったようでAに向かって怒鳴り散らしている薬研に、彼らから少しばかり離れた場所で山姥切たちは夕飯を摂っていた。
決して、巻き込まれたくないからではない。
「...なぁ、あれは放っておいて良いのか？」
「放っておけ、放っておけ。
日常茶飯事だ...この味噌汁、旨いな」
「そうだろう。
今日は俺も手伝ったんだ」
「納得」
胸ぐらを掴んで揺すり始める薬研に、先程からそわそわと落ち着かない様子の鶴丸が隣で箸を進める山姥切に問い掛ける。
しかし、彼はAを視界に入れないようで。
鶴丸の問いに軽く返してから、味噌汁を啜った。
そんな彼らの自身の主に対する冷たい対応に、鶴丸は本気で思った。
此処、
「ほら、あいつのことは放っておいて。
薬研の作る飯は旨いぞ」
「薬研の分だけ取っておいて...後は、全部食べて良い」
「あんたも怒ってたんだな」
食事に手を付けない鶴丸に、山姥切が食べるよう促した。
その言葉に付け加えるかのような鶯丸の言い分に、鶴丸は恐る恐る箸を持つ。
彼らが先に食べているので、毒は盛られていないのだということは既に分かっていた。
ぱくり、と鮭の塩焼きを口に入れる。
「...旨い！」
「それは良かった...ほら、Aの分だ。
一思いにいけ」
「あんた、本当に怒ってたんだな」
子どものように目を輝かせる鶴丸。
鶯丸はソッと、Aの分の鮭の塩焼きを彼の前に献上した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 334人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あ - 更新待ってます (2017年11月29日 1時) (
レス) id: e1ae95dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
柚希 - 面白いです！続きが気になります。更新楽しみに待ってます(゜∇^d)!!(゜∇^d)!! (2017年4月30日 10時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
ぬっこりアロエ - 1でｯ!!!!! (2017年3月21日 20時) (レス) id: 0d3966aac5 (このIDを非表示/違反報告)
トゥクルカ(プロフ) - 1でお願いします！続き楽しみにしてます！ (2017年3月20日 11時) (レス) id: 77391b8609 (このIDを非表示/違反報告)
ヴェルさん(プロフ) - 2が良いです。鶴丸にはホワイト本丸の味を知ってほしいです…ブラックな家族が顕現したら耐えられないとも思いますし... (2017年3月20日 11時) (レス) id: 8a36f75a5a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
