にわか雨は恋の予感！？【冨岡義勇】

第1話 ページ2

色とりどりの紫陽花が並ぶこの季節、私は重大なミスを犯してしまいました。




しとしとと降り止まない雨を睨みつけ、校舎玄関に立ち尽くす私。








「傘忘れた…………」





私は至って真面目な生徒だ。




授業態度も悪くない、忘れ物もしない。提出機嫌だって守る。



けれど、残念なことにズボラだ。


天気予報は見ないくせに荷物になるからと降りたたみ傘すら持たない。






「お母さん、今家にいるかな」





手持ちのスマホをスライドしてロックを解除。

電話帳に「母」という名で登録されているそれをタップする。








「お願い、出て！！」


祈りとともにスマホを耳に当てる。









ﾌﾟﾙﾌﾟﾙﾌﾟﾙ……









ﾌﾟﾙﾌﾟﾙﾌﾟﾙ……









ﾌﾟﾙﾌﾟﾙﾌﾟﾙ……ｶﾞﾁｬ









「あ、お母さん！！？」







良かった！繋がった！！









と思ったのもつかの間。


ﾂｰﾂｰ

「ただいま電話に出ることができません」









「お母さんんんんんーっ！！！」









スマホから流れる機械的なお姉さんの声。



これは困ってしまった。



傘もない、お母さんも居ない。









となれば私は待つかは濡れるかの二択だ。









「駅まで濡れるのはやだな……」

雨が止むまで。









仕方ないけど止むまで待つしかない。

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