【あんスタ】純白の君へ【男主】

134.日々樹歩side ページ42

何か、具体的には無いけれど

"守るものが欲しい"

そう、長い事願っていた

必死に自分を覆い隠して、周りに笑顔を振り撒く

そんな事をする理由は沢山あるけれど

自分の中に


愛するだけではとても寂しくてつまらない

捧げた分だけ愛して欲しい


こんな思いが隠れている事も大きな要因の一つだ


少し幼稚だろうか

馬鹿の戯れ言に聞こえるだろうか

でも





貴方｢あれ、珍しい…｣





これが本物の自分だから

それさえも偽ってしまったら、きっと自分は壊れてしまう

だからせめて、あなたの前だけでは正直に居たい


｢トレーニングルームに来るなんて初めてじゃないですか？｣


少し小馬鹿にした様に微笑みこちらへ近付いてくる姿

汗に濡れ、頬に張り付く綺麗な髪

服の裾で汗を拭う仕草

笑ったと同時に出来るしわ



全てが愛おしい



今のままでも充分身体は引き締まっているのにも関わらず

見ているだけでもこちらが疲れてしまう様なメニュー


ヒラヒラと動くシャツから見える白い身体が、イヤに唆る


何気なく体脂肪率を聞けば、腹筋をしながら

｢今は多分5%…くらいですかね？｣

さらりと衝撃的な事を言ってきた


それなりに自分自身も気にはしているが

ここまでストイックでも無ければ、絞る気も無い

ただ凄いと思うと同時に何故だか不安になって

体重は？

と、流れで聞いてみる

案の定｢またですかぁ〜？｣と笑われたが綺麗な顔で




貴方｢今は50kgですよ｣




そう言った

彼の身長は182cm、普通じゃ考えられない

何処をどう削ればそんな数字になるのか


不安は嫌な固まりとなって心に滞在する


そして過ぎる、想像したくない後継

あの細い身体が

この世にもう一つとして存在しない彼が




大きな音を立てて崩れる姿




愛したいものが、愛されたいものが

やっと見つかったのに

手放してしまうなんてしたくない









.









少しくらいは、我儘に生きてもいいでしょう？

135.→←133.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す