【あんスタ】純白の君へ【男主】

94.南雲鉄虎side ページ2

戻りつつある日常

問題が起きる訳も無く、平和に過ごす



貴方｢…あの？｣

｢っ！えっと、その！｣


南雲｢……｣



前言撤回

問題発生、しかも俺の目の前で


俺はただ自販機に飲み物を買いに行っただけなのに

ただお茶が欲しかっただけなのに


何が嬉しくて好きな人が告白される所なんて見なくちゃならないんだ


頬を赤らめて必死に気持ちを伝えようとするその子は普通科の子で

一目惚れです、と

付き合ってください、と

練習着のA先輩へとそう告げる


肝心の先輩は

下を向いて頭をガシガシとかくと



貴方｢あ〜…ごめんね、でも…嬉しいよ、ありがとう｣



そういって、眉を下げて笑う

その顔からは

"申し訳ない"という気持ちと

"よく分からない"

この2つが見え隠れしいてた


そう思った時

心がチクリと痛む


俺があなたに今気持ちを伝えても分かっては貰えない


そう、改めて思い知らされた

あなたの事を思っているのは、何も俺だけじゃない

だから誰よりも先に、早く

あなたを振り向かせたい


だけどそれも出来ない

あなたが分からないから


それに……



男の俺があなたに、A先輩に"好き"だと思いを伝えるのは

女の子があなたに思いを伝えるよりも難しくて

それが広まってしまえば大変な事になる



南雲｢はぁ〜……｣



再び突き付けられる現実に頭が痛くなる

静かに柱の影でしゃがみ込み

顔を隠す様に頭を抱える


ゆっくり、慎重に

だけれど迅速に、誰よりも先に









貴方｢…鉄虎？｣









耳に届く透き通る声に急いで顔を上げると

驚いた表情の先輩の顔がドアップで映る



南雲｢ぅわぁ！……せ、先輩｣



"お久しぶりッス！"

そう言おうとした言葉に重ねる様に



貴方｢盗み聞き、ですか…？｣

南雲｢ッ！…｣



妖艶に微笑みながらそう呟く

その瞬間、強い風が俺と先輩の間を駆ける

さらさらと風に靡く髪

そこから見える葡萄色の瞳


その瞳は聞くまでもなく

俺が盗み見ていることを知っていて

先輩は悪戯に笑って、俺をからかう


漂う大人の、余裕な雰囲気

たった1歳しか変わらないのに

俺を子供扱いする彼



南雲｢…先輩｣

貴方｢ん？｣



大人な彼を戸惑わせたい

動揺させたい

俺の前で、余裕が無いところを見せてよ



南雲｢久しぶりに練習室…行ってもいいッスか？｣









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俺はそんなにイイコじゃありませんよ…？

A先輩

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