五十五話 ページ10
「あ、あの。そちらは地下では？」
隣を歩くリヴァイさんは平然と地下へ続く階段を降りていくが、下にあるのはたしか兵長の部屋とエレンの部屋だけ。
流石の私もここから降りて一階の自分の部屋に着けるとは思っていない。
私が行っていいのか迷ったが、道の分からない私はとりあえず着いていくしかない。
どんどん進んでいくリヴァイさんに、私は意を決してもう一度呼びかけた。
「あ、あの！兵長！リヴァイ兵長！」
リヴァイさんを兵長、と呼ぶのは、少し慣れない感じがした。
「聞こえてる」
歩調を変えないままリヴァイさんは階段を降りきって部屋の前で足を止めた。
「入れ、茶でも飲んでいけ」
びっくりして息が止まるかと思った。
＿＿
「そんな、兵長に淹れされるなんて……！」
部屋に入れてもらった私は慌てふためいた。
なんとリヴァイさんが紅茶を準備してくれているのだ。
リヴァイさんは慣れた手つきでアルコールランプに火を着け、ポットを出している。
手伝いを申し出たが、リヴァイさんは座っていろ、と木の椅子を指差した。
「素人が淹れると不味くなる」
「……はい」
私は諦めてリヴァイさんの部屋の椅子に腰掛けた。
リヴァイさんが紅茶の葉が入ったブリキを開けると、ふわっといい匂いが部屋に広がる。
紅茶なんて高級品、昔1回飲んだことあるくらいだ。
私が少し身を乗り出すと、リヴァイさんは優しく目を細めた。
「いいから待ってろ」
「……はい」
まだ手伝おうとしていると思われたようだ。
そんな子供みたいなことばっかりしませんよ、と心の中でむくれながら視線をリヴァイさんからそらす。
ちなみにソファがあるのは団長室だけのようで、リヴァイさんの私室の家具はかなり簡素だった。
奥にベッド、今使っているテーブルが１つに椅子が２つ。この部屋では眠る位しかしていないのが分かる。
広さも私の部屋と同じくらいだし、一見兵士長の部屋には見えないだろう。
本当に仕事熱心な人だなあ。
そんなことを考えている間に、リヴァイさんが湯気の立ったカップを1つ私に差し向けた。
「ありがとうございます、兵長」
私がそれを受け取ると、リヴァイさんは向かいの椅子に腰掛けた。
「……リヴァイでいいと言ったはずだ」
虚を衝かれて、一瞬リヴァイさんの言いたいことが飲み込めない。
私は疑い半分に名前を呼んだ。
「リヴァイさん」
私がそう呼ぶと、リヴァイさんは少し満足そうにああ、と呟いた。
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ミカサ(プロフ) - ぐふぉっ(リヴァイの尊さにやられました) (2021年3月18日 15時) (
レス) id: 2cebe15e55 (このIDを非表示/違反報告)
はるこん(プロフ) - 麗紅花さん» お返事遅くなってしまいすみません。楽しんでいただけたならよかったです！そろそろ続きも書こうと思っていますので良ければぜひお読みください〜 (2021年2月28日 18時) (レス) id: af5768fbd2 (このIDを非表示/違反報告)
麗紅花(プロフ) - 作品を最初から最後まで読ませてもらいました！とても可愛くて純粋な恋愛で萌えました。リヴァイの性格も口調も上手く捉えていてスゴッ！！！と思いました。続きできたら是非とも読みに来ます！小説を頑張ってください！応援しています。 (2021年1月1日 15時) (レス) id: fa2fa0f152 (このIDを非表示/違反報告)
はるこん(プロフ) - 睡蓮さん» 最後の方は結構駆け足でしたよね笑 来年度に時間ができたら書きたそうかなと思っていますー読んでくださってありがとうございます！ (2020年5月3日 14時) (レス) id: 99f376c927 (このIDを非表示/違反報告)
睡蓮(プロフ) - こんにちは！作品一気に読ませていただきました！すごく面白かったです！リヴァイ兵長はきっとキャラや口調的に難しいと思うんですが、それを感じさせないぐらいすごく読みやすかったです！もっと先の物語も読みたいなって欲が出てしまうぐらいでした！笑 (2020年4月30日 1時) (レス) id: 56d089aaee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるこん | 作成日時：2020年3月19日 15時
