四十一話 ページ41
なんと、エレンは生き返った。
＿＿正確には死んでいなかった。
その後、巨人化できるというエレンの力で壁の穴は塞がれ、私達は人類初の快挙を成し遂げた。
＿＿らしい。
訳もわからないままブレードを振り続けていたら、いきなり作戦成功の煙弾が上がったのだ。
気づいたらこうなっていた、というのが正直なところだ。
気づいたら＿＿皆死んでしまっていた。
私はまだこれが現実だと受け入れられていないのだと思う。
皆が死んでいく鮮明な光景を。
そして今、みんなの身体がこの火の中で燃えているということを。
感染症の防止の為に、トロスト区で亡くなった人達を今こうして火葬している。
サシャやコニー、ジャンも俯いて立ち尽くしている。
辺りには暖炉の火とは全く違う臭いが立ち込めていた。
髪の毛の焦げたような臭いと＿＿やはりやめておこう。
火の側にいると空気中を漂う脂肪が肌にはりついた。
それでも、私は骨になっていく仲間の側を離れたくなかった。
“ぎゃぁああああ”
炎の向こうから目の前にいたのに助けられなかった同期の叫び声が聞こえてくるようだった。
ミーナ、トーマス、ミリウス、ナック、エリー、ガルマ、ユニ………
一人ひとりの死に際の声が頭を襲う。
何が快挙だ。何が尊い犠牲だ。何が、何が……！
痛いほど拳を握る。
そして、一気に脱力させた。
本当に許せないのはそう騒ぐ人達じゃない。
助けられなかった、自分だ。
「あんなに頑張ったのに……全部、全部無駄だったのか……？」
コニーが呟く。
トロスト区奪還は、勝利をただ喜べはしない程の死傷者の数を以てなされた。
きっと調査兵団に入ったら、壁外調査の度にこんな思いをするんだろう。そうでないのは自分が死んだときだけ。
死ぬなら人の為に、なんて思っていた自分を思い返す。
死の恐ろしさは今日、身を以て知った。
……もうやすやすと死ぬわけにはいかなくなった。
皆を殺して永らえさせた命だから。
人の為に、全力で生きるんだ。
「おい……お前ら、所属兵科は決めたか？」
ジャンが近づいてきて何かを拳に握りながら言った。
「俺は、調査兵団になる」
ジャンの決意に触発されて、私も思わず立ち上がっていた。
リヴァイさんにそう言ったときから、私の夢は変わらない。
どんなにこの世界が残酷でも、関係ない。
「私もだよ。絶対に、なる」
脂肪でべたつく頬の上で、涙は乾こうとしていた。
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はるこん(プロフ) - ??さん» そうですね、これだとウサギ跳びみたいになっちゃいますね笑 直しておきました。ご指摘本当に嬉しかったです！ありがとうございます！ (2020年4月11日 22時) (
レス) id: 99f376c927 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - 実は緩く縛られていたのでしょうか？でしたらそういう表現も文に入れていただけると想像しやすいです…。すみません、どうしてもそこの表現が気になってしまいコメントにて質問させていただきました…m(_ _)m (2020年4月11日 18時) (レス) id: dc3a8c3be2 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - ただひたすらに走って行った、という表現があるのですが夢主はどうやって手足が縛られているのに走って逃げたのですか？ (2020年4月11日 18時) (レス) id: dc3a8c3be2 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。十四話（過去）のページ内の表現について質問があります。ページの最初の方に夢主が馬車の中で手足を縛られている、という表現がありますがその後同ページ内で、前に乗っていた男に蹴り出され馬車の外に出て夢主は逃げた、 (2020年4月11日 18時) (レス) id: dc3a8c3be2 (このIDを非表示/違反報告)
shinon※*(プロフ) - いえいえ！更新楽しみにしてますね！無理せず頑張ってください！！ (2020年3月10日 20時) (レス) id: 4f45f8ab39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるこん | 作成日時：2015年8月20日 19時
