将来 ページ26
時々言葉を交わしながら静かに食事をとる。
普通は気まずさを感じるところだが、二人は不思議とそれを感じていなかった。
あまりにも現実離れした体験で夢かと疑っているのだろうか。
そして、ふと思い出したかのようにAが口を開いた。
「私、兵士になりたいんです」
「ほぅ」
__なぜ急に自分の夢を話し出したのかは
自分でも分からなかった。
でもどうしても話しておかなければいけないと思った。
リヴァイさんに、話しておきたいと思った__
一方リヴァイは驚いていた。
小さい子供が自らの意志で夢を兵士に決めるのは意外だったからだ。
「……所属兵団はどこにするんだ」
「ぇ、えっと。調査兵団です……」
「あなたと同じ兵団が良いです」と言っているからか、Aは気恥ずかしそうに俯く。
「そうか……もしかしたら四年後に会うかも知れねぇな。俺が死んで無きゃの話だが」
当然のことの様に笑うリヴァイにAは慌てた。
「だっ駄目です!絶対死んじゃ駄目ですよ!」
「じゃあ、お前も調査兵団に入っても死ぬなよ」
はい、と笑ってみせると短く返事が返ってきて、くしゃくしゃと髪をかき混ぜられる。
リヴァイさん、撫でるの好きだな。
__犬猫と同じに思ってそうだけど。
犬や猫と同じ扱いなのは微妙な心境だけど、大きな手に撫でられるのが心地よくて私は幸せな感情に浸るのだった。
__
Aが自分の夢を言ったとき、リヴァイは思った。
やめておけ、と。
だが年端もいかぬ少女にしては目が据わっていた。
本当にこいつはなにか成し遂げるかもしれない、と思わせる目だった。
賭けてみたくなる目だった__
Aの頭を撫でると気持ちよさそうに目を閉じた。
こうしているときはこんな小さな体の中に巨人に対する憎悪と、悲しみと野望が巣食っているようには見えないものだ。
__俺も普通に生きてりゃ、この位のガキがいたかもしれねぇな。
俺は無意識にそんなことを考える。
……何をしてるんだ俺は。
ふと我に返り、リヴァイは苦々しげに手を離した。
きっと現実逃避をしていた。
苦い世界から、目を背けたのだ。
この世界は残酷だ。
家族を食われるガキ共の数なんか、数えられねぇ。
こんな薄気味悪ぃこと考える暇があれば巨人共を殺す努力をするべきだ。
__ガキなんか拾ったって、助けられる訳じゃねえ
「片付けてくる」
俺は古い記憶を振り切る様にして席をたった。
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はるこん(プロフ) - ??さん» そうですね、これだとウサギ跳びみたいになっちゃいますね笑 直しておきました。ご指摘本当に嬉しかったです!ありがとうございます! (2020年4月11日 22時) (レス) id: 99f376c927 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - 実は緩く縛られていたのでしょうか?でしたらそういう表現も文に入れていただけると想像しやすいです…。すみません、どうしてもそこの表現が気になってしまいコメントにて質問させていただきました…m(_ _)m (2020年4月11日 18時) (レス) id: dc3a8c3be2 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - ただひたすらに走って行った、という表現があるのですが夢主はどうやって手足が縛られているのに走って逃げたのですか? (2020年4月11日 18時) (レス) id: dc3a8c3be2 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。十四話(過去)のページ内の表現について質問があります。ページの最初の方に夢主が馬車の中で手足を縛られている、という表現がありますがその後同ページ内で、前に乗っていた男に蹴り出され馬車の外に出て夢主は逃げた、 (2020年4月11日 18時) (レス) id: dc3a8c3be2 (このIDを非表示/違反報告)
shinon※*(プロフ) - いえいえ!更新楽しみにしてますね!無理せず頑張ってください!! (2020年3月10日 20時) (レス) id: 4f45f8ab39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるこん | 作成日時:2015年8月20日 19時