二十四話(過去) ページ24
……あれ?
見慣れない布団の匂いに瞬きをして、回りを確認しようとして身をよじる。
あぁ、本部に泊めてもらったんだった。
いつもと同じ明るさの空が窓の外にある。
5時ちょうどに目が覚めたことに習慣の恐ろしさを感じる。
普段だったら6時から畑だ。
あぁ、ベッドが柔らかい。
心なしかいつもより苦しい様な……
抱きしめられている様な……
横を向くとリヴァイ兵士長がいる様な……!?
私は混乱した。狼狽した。
確か、昨日はご厚意に甘えて兵士長がソファーで寝るというはずじゃ!?
……でも、誰かが隣にいるって、良いなぁ。
お母さんと一緒に寝ていた頃を思い出す。
もう少しだけ、このままで__
その瞬間、リヴァイ兵士長の瞼が開いた。
自分の考えが悟られないように、私は慌てて目をそらした。
「……?」
兵士長は一瞬、不思議そうな顔をすると、しばらくしてあ、と呟いて体を離した。
「……いつもの習慣で……悪い」
暫くの沈黙。
先に口を開いたのは私だった。
「じゃあ……ぎゅってして下さい」
ん?
いやいやいやいやいやいや!
なんてこと言ってんの!?
家族の代わりみたいなこと、こんな偉いひとに頼んじゃった……!!
言い訳が頭の中をぐるぐる回る。
どうしよう……!
私の思考を遮ったのはリヴァイ兵士長だった。
さっきまでの幸せな心地良さが戻ってくる。
リヴァイ兵士長が、本当にに私を抱きしめているのだ。
「えっあの、」
混乱して状況が掴めない。
「頼んだのはお前だろう」
「あ、えっと……!」
さっきとは別の意味でどうしよう。
なんだかくすぐったくて笑ってしまう。
「……リヴァイで良い。長い」
「じゃ、じゃあ__リヴァイさん」
結局あんまり変わっていないけど。
「あの、私もAで良いです。エヴァンスって長いですよね」
「ああ」
__きっとこれが幸せだ。
すぐに壊れてしまいそうに脆くて、でもその儚い気持ちにずっと身を委ねていたい様なそんな感覚。
私は少し体を離す。
リヴァイさんが眠そうにこっちを見る。
「……ありがとうございます」
起きているか分からないけどリヴァイさんはちょっとだけ微笑んだ__様な気がする。
この厳めしい兵士長のこんな一面を知っている人間が、一体どれほど居るだろう。
温かさにまどろみながら、私はリヴァイさんの腕の中でこっそり笑った。
そしてリヴァイさんは時間が来るまで私のお願いを叶えてくれました。
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はるこん(プロフ) - ??さん» そうですね、これだとウサギ跳びみたいになっちゃいますね笑 直しておきました。ご指摘本当に嬉しかったです!ありがとうございます! (2020年4月11日 22時) (レス) id: 99f376c927 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - 実は緩く縛られていたのでしょうか?でしたらそういう表現も文に入れていただけると想像しやすいです…。すみません、どうしてもそこの表現が気になってしまいコメントにて質問させていただきました…m(_ _)m (2020年4月11日 18時) (レス) id: dc3a8c3be2 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - ただひたすらに走って行った、という表現があるのですが夢主はどうやって手足が縛られているのに走って逃げたのですか? (2020年4月11日 18時) (レス) id: dc3a8c3be2 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。十四話(過去)のページ内の表現について質問があります。ページの最初の方に夢主が馬車の中で手足を縛られている、という表現がありますがその後同ページ内で、前に乗っていた男に蹴り出され馬車の外に出て夢主は逃げた、 (2020年4月11日 18時) (レス) id: dc3a8c3be2 (このIDを非表示/違反報告)
shinon※*(プロフ) - いえいえ!更新楽しみにしてますね!無理せず頑張ってください!! (2020年3月10日 20時) (レス) id: 4f45f8ab39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるこん | 作成日時:2015年8月20日 19時