二十二話(過去) ページ22
戻ってきたリヴァイ兵士長は、ものすごいスピードで私の足の処置を始めた。
「いっ……」
「消毒だ。我慢しろ」
兵士長が私の足を無造作に掴む。
ソファに座っていると必然的にリヴァイ兵士長を見下ろしている形になり、私は恐れ多い気持ちでいっぱいになる。
心の中で謝罪を繰り返しているうちに、兵士長は迅速に傷口を包帯で包んでいった。
誰かのケガを治せるのって、すごいなぁ。
申し訳ない反面、私がそんなことを考えているうちに、リヴァイ兵士長は私の指も消毒して細い包帯を巻いた。
「包帯は一日おきに取り替えておけ」
「は、はい。ありがとうございます」
そしてリヴァイ兵士長は目の前のテーブルにある食事を指差すと、"食え"と告げた。
パン、コーンスープ、野菜ソテー……
ありふれた料理だったけど空腹な自分にとってはご馳走だった。
「美味しいです！」
「……そうか」
私はむしゃむしゃ野菜を食べた。
「あまり急いで食べるな」
「う、はい」
たしなめられてしまった。
リヴァイ兵士長は表情を変えずにこちらを眺めている。
兵士長さんは、もう食べたのかな。
自分だねが食事をしているのは、なんだか申し訳ない。
「……爪は、拷問か？」
「……ごっ！」
私がパンを口に入れたとき、リヴァイ兵士長が突然物騒な質問を繰り出した。
私はむせそうになりながら首を横に振る。
私が事情を説明すると、リヴァイ兵士長は少し眉を寄せた。
心配されているのかな。
私はそんなふうに感じて首を傾げた。
誰かに心配されるという感覚が、なんだか慣れなかった。
＿＿
「ごちそうさまでした！」
私は勢いよくぱちん、と手を合わせた。
お腹いっぱいに食べたのは久し振りだ。
でも少し罪悪感もある。
みんなは今、きっといつもみたいに乾いたさつまいもをかじってるのに。
「片付けてくる」
兵士長が食器を下げようと立ち上がる。
「あのっ自分で……！」
「子供が居たら目立つだろう」
……正論だ。
私は黙って扉が閉まるのを見ていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 357人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はるこん(プロフ) - ??さん» そうですね、これだとウサギ跳びみたいになっちゃいますね笑 直しておきました。ご指摘本当に嬉しかったです！ありがとうございます！ (2020年4月11日 22時) (
レス) id: 99f376c927 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - 実は緩く縛られていたのでしょうか？でしたらそういう表現も文に入れていただけると想像しやすいです…。すみません、どうしてもそこの表現が気になってしまいコメントにて質問させていただきました…m(_ _)m (2020年4月11日 18時) (レス) id: dc3a8c3be2 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - ただひたすらに走って行った、という表現があるのですが夢主はどうやって手足が縛られているのに走って逃げたのですか？ (2020年4月11日 18時) (レス) id: dc3a8c3be2 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。十四話（過去）のページ内の表現について質問があります。ページの最初の方に夢主が馬車の中で手足を縛られている、という表現がありますがその後同ページ内で、前に乗っていた男に蹴り出され馬車の外に出て夢主は逃げた、 (2020年4月11日 18時) (レス) id: dc3a8c3be2 (このIDを非表示/違反報告)
shinon※*(プロフ) - いえいえ！更新楽しみにしてますね！無理せず頑張ってください！！ (2020年3月10日 20時) (レス) id: 4f45f8ab39 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はるこん | 作成日時：2015年8月20日 19時
