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山本さんはいたずらっぽく笑い


私から離れる





『っからかわないでください！』



「からかってないよ


好きな子がこんな可愛い格好してたら


仕方ない仕方ない」





山本さんはいつもずるい


そんなことを言われたら


私が何も言えなくなることを知っている





そうこうしていると


怪訝そうな顔をした拓朗が


リビングに入ってきた





『あ、拓朗


起きた？』





どうやら山本さんがいることを


不思議に思っているらしい


拓朗はふくらさんに頼んでたのか





『ごめんね、心配かけて


もう、大丈夫だから』





本当はまだふらふらするし


体も重いけど


これ以上２人に迷惑を掛けられない





「じゃあ、A


ここまできて」





私から少し離れたところにいる拓朗が


手を広げて私を呼んだ





机を掴んで立ち上がり


少し歩いたところで


体が傾くのを感じた





「どこが大丈夫なん？」



『あ、はは


ぼーっとしちゃった』



「Aはそれ食べたら寝て


ありがとう、山本


もう大丈夫だから」





拓朗の言葉に引っかかったのか


山本さんが表情を変える





「僕も残りますよ


心配ですし」



「いや、Aも気使うやろうし」



「どうして川上さんに


そんなこと言われないといけないんですか？」





山本さんの言葉に


その場の空気が凍る





「俺は思ったことを言ったまでで」



「川上さんって


Aちゃんの彼氏か何かですか」



「・・・幼馴染だよ」



「だったらそんなこと言う筋合いないですよね


俺だって看病ぐらいできますよ」





普段の山本さんからは


想像もつかないぐらい


感情的になっているようだった





「山本、落ち着いて・・・」



『大丈夫です』





気づいたら


自分でも驚くぐらい


大きな声を発していた





『私はもう平気なので


今日はお２人とも、帰ってください』



「・・・」





２人はハッとした後


申し訳なさそうな顔をして


リビングから出ていった





―――――――――――――――――





「すみません、川上さん


かっとなっちゃって」



「いや、俺はいいけど・・・」



「Aちゃんに、気使わせちゃいましたね」



「うん・・・」



「・・・俺


Aちゃんのこと本気ですよ」



「え・・・？」



「Aちゃんのこと、本気で好きです


幼馴染の川上さんにも負けないぐらい」



「・・・


俺だって本気だよ」

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