十話 ページ13
放課後。
部活へ行く。
そう考えると気が重いが、莉子が話を聞いてくれたおかげでかなり心が楽になった。
「…私も頑張んなきゃね」
頬を叩いて気持ちを切り替え、体育館へ向かった。
「こんにちはー」
「「…ちわーっす」」
冷たい。
まぁ、あんな現場を知ってしまったらそう思われても仕方ないのだが。
「なぁ柏崎、ちょっと良い?」
「うん」
道川に呼ばれ、体育館を出る。
「…あのさ、聞きにくいんだけど…」
「寺春さんだよね」
「あぁ、うん」
やっぱり。
察してはいたが実際言われるとキツいものだ。
「あれ、誤解?それともマジでやっちやったの?」
「……私が寺春さんをいじめるように見える?」
真っ直ぐな目で道川を見据える。
「…はっ、見えねぇわ」
「最初聞いた時はビビったけど、やっぱお前がそんな事する訳ねーもんな」
「当たり前でしょ」
道川が、呆れたように笑う。
呆れたいのはこっちの方なのだが。
「…私の二年間の信用舐めてもらっちゃ困る…」
「だよなーっ!俺らなんだかんだでずっと絡んでるもんな!」
「で、寺春は何した?」
道川の声のトーンが少し落ちる。
「寺春さんは…」
道川にも全て話した。
信じてもらえてよかったという安心と、今までの信頼は嘘じゃなかったのだという喜びに包まれる。
「…そっか、俺の方からも言っとくわ」
「あと、誤解解くのよろしくね」
「おっけーおっけー」
そう言い、練習へ戻っていった。
「はぁ…これでひとまず安心か…」
心なしか、見上げた空がとても晴れやかだった。
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もちサブ - お願いだ…夢主ちゃんをしあわせにしてくれえええええ)))))) (2022年5月17日 22時) (レス) @page35 id: 56e816f997 (このIDを非表示/違反報告)
三月 - わ〜!!面白かったです! (2022年5月17日 17時) (レス) @page35 id: 2f9ff98037 (このIDを非表示/違反報告)
613honoko(プロフ) - コメントしようか迷ったのですが…なんというか、不自然な終わり方でしたね。急に薄っぺらくなったような、人間らしい奥行きが無くなったような…他の小説は誰が言うでもなく自分が納得できるまで書いてみては? (2022年4月1日 14時) (レス) id: e49b0d2946 (このIDを非表示/違反報告)
作者 - 613honokoさん» コメントありがとうございます!やっぱり悪女側も内面を知ると好きになったりしますよね〜!更新頑張ります! (2022年3月26日 11時) (レス) id: 0c5a82d5af (このIDを非表示/違反報告)
613honoko(プロフ) - 寺春好きだわ、頭いい。幸福を掴むのは相応の孤独と地獄を見てきたものって相場は決まってんのさ、ハハハ。続き楽しみにしてます (2022年3月24日 18時) (レス) id: e49b0d2946 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レタス様 | 作成日時:2022年1月29日 9時