検索窓

.




 ──ねえ、すこしだけ、昔の話を聞いてくれないかな。





 そう物語の始点を打ったときの、「すこし」とは一体いつのことを指すのが無難なんでしょうね。

 ほんの数ヶ月か。
 あるいは、数十年ほど前か。


 ああ……けれども、今の俺が思い起こすはそれよりもっと、ずうっとずうっと前のこと。
 百年も、二百年も。それ以上も前のこと。

 もしかしたら前世みたいなものかも?

 ……だなんて。
 ファンタジーは俺より専門的なひとがいるので、さほど詳しくはない方なんですけど。







  『……司祭さん?』


 けれども、そんな曖昧な曖昧すぎる記憶にすら縋りたくなってしまうほど、俺は。
 俺はあの短く、甘いだけの虚構に溺れたままで。

 あはは。ホントにだめですね。


『ああ、よかった。司祭さん。
あの人が呼んでいて……できれば、今すぐに』

『うーん、またですか。人使いが荒いんですよね』


 彼がいて、彼女がいて。
 それは今も昔も変わらないことだと言うのに、何が違うんでしょう。







「あいにくだけれど。
残念ながら彼女のことは見殺しにするつもりだよ」



 単純に、時代なんでしょうか。


.

本作品にはパスワードがかかっています。
パスワードを入力して作品を閲覧して下さい。
パスワードが不明の場合は作者の方にお問い合わせ下さい。
 パスワード:  
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:こめこ | 作成日時:2018年10月1日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。