枝垂れ桜と神隠し ページ2
・
朝に起きたら雪が降っていて無邪気に興奮していたことがどれくらいあったんだろうか
好奇心で雪だるまを作って我ながらのキラキラネームをつけて家の庭に溶けるまで置いてあったり、誰も踏んでいない雪路に足を沈めることが好きだったから真っ白の道に足跡を沢山残したことが何回もあった
それが今では高校生。そんな純粋な心もなく冷える真冬の空気の中白い息をただただ意味もなく零すだけだった
「ただいまー」
玄関に入りいつもの掛け声をすると遠くの方から「おかえりー」という声がこだまのように返ってきた
ローファーを脱いでいる途中に玄関に近い方の扉が開いてうちの母親が出迎えてくれた
「外寒かったでしょ？」
「何年学生やってると思ってるの？このスカートを見れば伊達じゃないってことわかるでしょ」
ドヤ顔まで決めて堂々と言ってるけど本当はくっそ寒かった。鳥肌も異常なほどに立ったしなんなら今結構着込んでるから。
母親はハイハイといつも通りスルーを決めて呆れ顔でこっちを見ていた。いつも通りって言うのもなんか可愛そうな気もするけど
「…まぁいいわ。そんなことよりお風呂湧いてるから先に入ってきなさい」
「はーい」
階段を駆け上がり自室のドアを開けるまで数秒もかからなかった。マフラーとコートをハンガーにかけてわきにスクールバックを無造作に置いてからそのまま糸が切れた様にベットに倒れ込んだ
社会人並と言ってしまえば悪いがかなり疲労が溜まっている。進路についても本格的に行動するため一日一日が落とせないものになるし。
不意に外の様子を覗くと赤紫のグラーデーションだった夕空はいつの間にか真っ暗になっていて満ちた月が高く上がっていた
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜紅茶(プロフ) - Naoさん» コメントありがとうございます！そんな前から見ていただいて嬉しいです！気長に続編を待っていただければ幸いです。 (2020年10月4日 19時) (
レス) id: 676346443e (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - この小説が書かれだした頃から見ているのですが夜紅茶さんの言葉選びは凄く人を惹きつけるもので素晴らしいと思います！続き待ってます！楽しみです！ (2020年10月4日 18時) (レス) id: b92cb2f456 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
