第十三章【難渋の渦】 ページ1
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難渋
苦しむこと。悩むこと。また、そのさま。
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自分の部屋の中から窓を開け空を見上げると偶然にも秋空へと浮かぶかすみ雲が平穏に流れていた。まさにその情景は今の私の感情の弱さに似ているような気がした。
口から零れるのは憂鬱さと無意識に出てくる溜め息ばかり。勤務中にもかかわらず休憩時間にはっきりとメリハリをつけることが出来ていなかった。
『好きですよ。』
初めて知った彼の本音。ただその言葉には今までのような戯るなんて様子は全くなく嘘偽りない言葉に私は一瞬彼の言葉を無意識に胸の中へ留めてしまっていた。
…初めて愛を感じた。
初めて言葉で好きと示されて脳内で彼という印象と存在が大きく変わってしまった。
(でも…)
どうにも他の人たちの存在が心のどこかで突っかかってしまっている。プロポーズをされたり二人で出かけたり、夜の海を眺めたり神殿でお茶を飲んだり相談にまで乗ってもらった。
だからどうにも踏みとどまってしまって彼の言葉にすぐさま対応出来ずただ立ち止まり困惑してばかり。あの日夜に何も出来なかったけど彼はそんな私を見透かしたのかこんな言葉をかけた。
『早々に答えを出せなんて我儘を言うつもりはありません。俺はAがちゃんとした決意を持ったら話を聞きます。…でも』
彼は私の両手を掬い取り、月華の下で夜の静寂さに似合う笑みを浮かべながら私に凛とした目を向けた。
『いつかAのことを振り向かせてみせますから。』
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ヨル(プロフ) - コメントありがとうございます!何とかひねりにひねって作品を良いものにしていきたいと思いますのでよろしくお願いします (2020年1月16日 20時) (レス) id: 676346443e (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - この作品好きです!続き楽しみに待ってます! (2020年1月16日 20時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
パピヨンlove - ヨルさん» いやいや全然!バイト〜〜〜頑張れ!!!!!(元気玉)いつでも待ってるよ(イケウ``ォ) (2019年8月21日 1時) (レス) id: 96ecbd33f4 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - パピヨンちゃんおひさ!ありがとねー!!今、バイトとかの予定で中々更新頻度が下がってしまってね…気長に待ってて! (2019年8月11日 19時) (レス) id: 676346443e (このIDを非表示/違反報告)
パピヨンlove - ヨルさん久しぶり!!!!作品面白いね。読んでて楽しいよ!!更新頑張って! (2019年8月11日 13時) (レス) id: 96ecbd33f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜紅茶 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/qZN5vxyJ6V2/
作成日時:2019年6月28日 15時