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「はぁ〜…こんなにも楽しめたのは生まれて初めてや!」
「そうですか、それは何よりです。」
力を抜いて、格差のことなんか頭の中から一瞬追い出していた。これほど楽しかったことは一度もない。
時間も忘れて気づけば夕方になっているなんて、本当にあっという間だった。
「今日は案内してくれてありがと。」
「いえ、こちらこそ手伝っていただき感謝しております。」
「…また今度もこんな風に出かけられへん?次は俺の国に来てくれたら嬉しいんやけど。」
「月崎様の国…でございますか?」
女に対して真面目な誘いを入れたのは初めてだ。普段なら女からすり寄ってくるからそれを適当にあしらってばかりだった。
けど彼女の…Aの姿に少し興味を持った。
「…そうですね、いつか行けるといいですね。」
「ホンマに!?嬉しいわぁ。日取りちゃんと決めとくから覚悟しとき?」
「え?本当に連れてってくれるんですか?」
「何言うとんの、連れてくに決まっとるよ。」
俺がそういうと彼女は驚いた表情をしていたが、やんわりとした笑顔を見せてくれた。それにつられて俺も口の端を緩めた。
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作者名:夜紅茶 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/qZN5vxyJ6V2/
作成日時:2019年3月18日 7時