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「その子はうらたんのお客様やで?」
勢いで瞑っていた目を恐る恐る開くと檸檬色の髪の彼がガーデンテーブルに手をついて頬杖を立てていた。
後ろにいた紅の髪の男性はピタリと動きを静止した。
「…折原様」
「センラ、なんの冗談や?」
「ん?だからさっきから言っとるやん。その子はうらたんのお気に入りちゃんやで?」
すると彼はナイフを下ろし舌打ちをしてから罰が悪そうな顔でその場を去っていった。紅の髪が見えなくなった時に緊張感が解けて私はその場にしゃがみこんだ。
その時耐えていた恐怖感がどうしても抑えられなくて私は涙を零してしまった。
「…そんな泣くんやったら最初から素直に言えばいいのに。俺が来なかったらアンタ確実に殺されてましたよ?」
「…すみ、ません。…どうしても……人に頼りたくなくて……めい、わくを…かけたくなくて…っ」
涙を止めようにも止められなくて、情けないと思いながら私はその場で動けなかった。
情けない、不甲斐ない、申し訳ない…そんな罪悪感のようなものが脳内をぐるぐると回っている。
「いいから泣き止んで?俺が悪いみたいになってるやん。」
彼は私の方へ近づいてしゃがみこんだ。そのまま淡黄蘗のハンカチで私の流れている涙を優しく撫でた。
すると彼は急に動きを止め私の首の一点をじっと見つめた。
「よくよく見たら怪我してるし。」
彼に首元のあたりを指さされ私は手でそっと触れた。手を顔の前に出すと鮮明な血の色が見え、その紅から先程の行動を思い出してしまった。
「…ちょっと失礼」
「…っえ?」
すると折原様は私の首元辺りに頭を埋めた、羞恥心により今度は頬の色が徐々に赤くなり心臓の音が止まらなかった。
私が止めようとした次の瞬間、生暖かい感触が首の辺りを伝った。
出血箇所の所を舐められているため微かに刺激が出てくるが、そんなことよりも恥じらいの方が勝っているため私は弱々しい力ながらも抵抗をした。
「な、何を…」
「何って…止血やけど?もしかして感じとったん?」
「決してそのようなことはございません!!」
「ふふっ、でも顔には正直に出とるよ?」
「顔真っ赤」なんて戯けた顔でからかう折原様に少々苛立ちを覚えたけど、図星なため何も言い返せなかった。
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作者名:夜紅茶 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/qZN5vxyJ6V2/
作成日時:2019年3月18日 7時