sweet×44 ページ45
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初めて、気づいて言えた恋愛感情の好きの2文字。
契約した相手が偶然にもうらたさんだったから、近くにいたから。単なる理由としては傍から見たら甘いのかもしれない。
「だから、これからも臆病者で独り身の私を傍に置いてくれませんか」
彼のための彼への言葉。うらたさんの瞳を見て、うらたさんから目を離さないように彼の姿を捉えて反応を待つ。
心臓が、やけに煩い。
「…お前、それ道路のど真ん中で言うセリフかよ」
そして返ってきたのは溜息混じりの呆れたような声。そう指摘されれば我ながら大胆なことをしたなと少々体がくすぐったくなる。
「厄介者から離れられる最後のチャンスだぞ。世の中から卑下される覚悟は出来てんの?」
うらたさんは地面に足を着き、乾いた音を立てて降りてくる。それと同時にやまだぬきちゃんはうらたさんの肩から降り、そのままどこかへ姿を消した。
「だから、ここに来たんです」
もう、子供でもなく学生という中途半端な存在ではないから分かっていた。自分の今後のための大きな選択に私は後悔をしない。
「_ったく、お前ってやつは」
目と鼻の先の距離、それを縮めるためか強引に頭と腰を引き寄せそのまま優しく抱きとめられた。
鼻をかすめる爽やかなライムの香り。急に抱きしめられたせいか、呼吸することを一瞬忘れてしまった。
「これからは俺がお前の涙を拭ってやる。余計に泣かせたらそっちの方が厄介だしな」
耳元に聞こえた甘い声。うらたさんは力を緩め、私の両肩をそっと押した。
「好きだ。ずっと俺の傍にいろ」
彼は私の頬に骨ばった手を添え、うらたさんは顔を近づけてくる。私は自然に瞳が閉じて、そのまま深夜の街中で触れるだけの口付けを交わした。
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夜紅茶(プロフ) - ちょこさん» コメントありがとうございます!その後に関しましては全員登場してから考えようかなと思っています!次のシリーズも執筆準備中ですので長い目で見ていただければありがたいです! (2022年4月2日 11時) (レス) id: 2017f33955 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです!その後話が欲しい!あとセンラさんのお話も楽しみに待ってます! (2022年3月9日 2時) (レス) @page50 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
夜紅茶(プロフ) - りとさん» コメントありがとうございます!最後の部分は結構構想練りながら考えたところなのでとても嬉しいです! (2021年7月4日 15時) (レス) id: 2017f33955 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - コメント失礼します!最後泣いちゃうぐらい最高でした。ありがとうございます (2021年7月4日 11時) (レス) id: 00ec0e89a7 (このIDを非表示/違反報告)
柴イヌ - 返信ありがとうございます!是非、これからも見させていただきます! (2021年2月21日 23時) (レス) id: 525b615957 (このIDを非表示/違反報告)
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