sweet×38 ページ39
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黒い大理石の床、見慣れているはずの宮殿の中は久々だけれども居心地が悪い気がする。
アイツに会う前はあんなにも普通の顔をして過ごしてたはずなのに、いざ帰ってきてみれば人間の世界よりも胸糞悪い。
「里帰りにしては随分お早いおかえりやない?」
特徴的な関西弁と俺の事を基本的に『うらさん』としか呼ばない人物。
顔を上げれば同じような格好でこちらを無邪気な子供のように見つめるレッドベリル。
「なんでお前がいんだよ、坂田」
「質問遮らんといてよ。まぁ?俺は気分でここにいるだけ。ついでにたまたま気配が近かったから寄ってみただけ」
宮殿の中から外を見れば荒れた土地や人間界からの死者が拷問を受けて息苦しむ様子。
帰ってきたんだ、俺が前まで住んでいた地獄に。
「人間の女の子と契約結んだとか聞いとったけど、何?飽きた?」
「お前に答える義理なんかない」
「え〜!だってどう考えたって頑固で意地っ張りなうらさんが上等な獲物をそう易々と逃すはずないやろ?それとも“何かあった”って顔に出てること自分でも分からんくなった?」
「は?」
「は?ってなんやねん。もしかして気づいとらんの?」
俺はそのまま目を見開けば坂田は「頭打ってバカになった?」と毒を吐いてきたが俺はその表情を隠すことを出来ていなかったことに驚いた。
なんで、いつもなら適当に誤魔化せるはずなのに。
「…なんでもねーよ」
「嘘つけぇ。うらさんがこの景色を見た時に顔を嫌なほど歪めとったよ?明らかに人間に影響されました〜って顔しとるよ」
見え透いた挑発に乗るほど俺も短気じゃない。これ以上介入されるのもめんどくさいし聞く耳を持たないことにしよう。坂田の世間話なんか8割くらいどうでもいいことばっかりだし。
「あ、そういやまーしぃがそろそろ人間の世界に行こうかなとか何とか言っとったよ」
「今回で何人目だ?」
「さぁね、多すぎて忘れた。それに鬼畜な悪魔は何人殺しても何事も無かったかのようにけろっとしとるし。もしかしたら女の子に飽きたからとか言って今度は男と契約するんやない?」
「まさか、アイツに限ってないだろ。女の生脚が好みとかいろんな性癖論語ってたし」
脚だったらまだ許せるが口には出しにくい程の性癖を志麻は山ほど抱えている。
俺は軽く話を流した後、坂田の横を通り過ぎて足を進めれば坂田も隣に並んで歩き始める。
「本当にまーしぃが純粋無垢な元天使なのかねぇ」
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夜紅茶(プロフ) - ちょこさん» コメントありがとうございます!その後に関しましては全員登場してから考えようかなと思っています!次のシリーズも執筆準備中ですので長い目で見ていただければありがたいです! (2022年4月2日 11時) (レス) id: 2017f33955 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです!その後話が欲しい!あとセンラさんのお話も楽しみに待ってます! (2022年3月9日 2時) (レス) @page50 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
夜紅茶(プロフ) - りとさん» コメントありがとうございます!最後の部分は結構構想練りながら考えたところなのでとても嬉しいです! (2021年7月4日 15時) (レス) id: 2017f33955 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - コメント失礼します!最後泣いちゃうぐらい最高でした。ありがとうございます (2021年7月4日 11時) (レス) id: 00ec0e89a7 (このIDを非表示/違反報告)
柴イヌ - 返信ありがとうございます!是非、これからも見させていただきます! (2021年2月21日 23時) (レス) id: 525b615957 (このIDを非表示/違反報告)
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