Demons Voice【うらたぬき】

sweet×19 ページ20

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それは口だけなら簡単に言えてしまう単純な言葉で内容としては難解でかなり複雑な方法だった。


「Aは人を本気で好きになったことなんて無いだろ？強いて言えば親愛止まりだ。恋愛だって経験したことないようなもんだし」

「そ、それはそうですけど…だからって簡単に好きになれるはずが」

「否定から入るよりもやってからにしろよ。文句は後から語ればいい。…知りてぇんだろ？それならAが自分から動くしかねぇんだよ。どうせ告白だってされてから振られっぱなしだったんでしょ？」

「うっ…」


うらたさんの言い分的には私の男運が悪かったからろくな出会い方もしなかったと。そうです８割方正解ですよ。

だから目の前のうらたさんに好意を持てば解決。まぁ人間を好きになれない私もどうかしてるからどっちもどっちなのか。


「人を好きになることは簡単じゃないけど難しいこととか何も後先考えずに人に興味を持ったら始まるのが恋なんじゃねぇの？」

「…じゃあ私は恋したんですかね？」


うらたさんは目が飛び出しそうなほど見開いて数回瞬きした後に「俺に？」と自身に指をさして聞いてきたので私は縦に頷くと「ふはっ！」と大きくお腹を抱えて笑っていた。

私なんかおかしいこと言った？


「なぁに？俺に興味持ってくれたの？」

「興味、ですか。まぁ最初はお化けか何かと思うと少し怖かった気もしますけれど話とか聞いている限り途中から興味を持ったような持ってないような」

「なんだそれ」



♧


興味を持ったような気がする、そんな曖昧な言葉が一つ出ただけなのに自分の気持ちがAに少しだけ期待した。

恋心なんてはっきり表せないもの。俺は全部説明することなんて出来ないけれども少しずつ好きっていう気持ちを"お互い"知ることが出来たらいいな、なんて堕ちた悪魔のくせに柄にもないことを思い浮かべた。



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