sugar×13 ページ14
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悪魔には睡眠に対する欲がない。だから一週間寝ていなくてもどうってことは無い
自分の食欲を充たしてくれれば、ね。
「…おはよ」
夜の散歩から帰ってきてベランダから入り込んだ時甘い匂いとはまた違ったいい匂いに近づいた。するとそこにはAがエプロンを身に付けてキッチンから何かを運び黙々とテーブルの上に並べていた
あまりにも予想外の行動で俺は呆気に取られながらテーブルの上にあるそれをじっくりと眺めた。
「何これ」
「朝食だけど」
「…チョーショク?」
チョーショクといったものは初めて見た。
人間の世界の事なんか感情ばかりに興味を持っていたから他のことは全く勉強したことがなかったし
「食べ物。摂取ばかりされたら私の体力がもたないっての」
「銀とか入ってへんよな?」
「あっそ。そんなに疑うなら要らないのね」
Aは皿を取り上げようとしたけど俺は無意識にその手を止めた。Aはいきなりの行動で驚駭としている様子だったが俺自身も瞠目とした。
「…とにかくまずは食べてみたら。貴方の口に合うかは知らないけど」
言われるがまま俺は席に着いた。Aは何か挨拶をしてから手をつけていたが俺はわけも分からず皿の上に乗せられた食べ物を手に取った
「それはトースト。そのままかぶりつくの」
こう、と言われてAはそのまま目の前の食べ物にかぶりついた。俺も真似して一口放り込む
「っ!…何これ?」
「美味しくなかった?」
「__めっちゃ美味い!なんやコレ!」
サクッとした食感にほんのりと甘みが広がってもちもちとした歯ごたえ。あまりにも美味しくて夢中になって気づいた頃には全て完食しきっていた
「こんな食い物人生で初めて食べた。人間の世の中にもこんないい物あるんやな」
「…志麻ってホント単純ね」
可笑しい、とクスリとした笑みで初めてAに自分の名前を口に出された。
馬鹿にされてるはずなのにそれ以上に初めて人間の純粋で柔らかく綻んだ笑みに視線が惹き付けられ視線が集中した
「って、もうこんな時間。それ片付けておいて!私のベーコンエッグもあげるから!」
Aがドタバタと急ぎ始めた所で自失していた意識が鮮明になっていった。
「じゃあ行ってくる」と遠くの方で声がしたところで気づけばAはいなくなっていた。
「…なんやこれ」
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夜紅茶(プロフ) - ちょこさん» コメントありがとうございます!続編を希望していただきありがたいです!一応こぼれ話としてなにか書けないか検討してみます! (2022年4月2日 11時) (レス) id: 2017f33955 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです!その後話が欲しい! (2022年2月21日 4時) (レス) @page50 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - さざんかさん» コメントしていただきありがとうございます!今後も作品を見守っていただければ幸いです! (2020年4月13日 9時) (レス) id: 676346443e (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - 普段全く他の方の作品にコメントする事はないのですが、この作品は本当にドストライクなので初コメ失礼致します…!完結おめでとうございます!悪魔と天使のお話も凄く深いなと思いました。。伏線も凄く気になります…!今作品関連作品が出たらまた読ませて頂きます!! (2020年4月13日 2時) (レス) id: 63429259c8 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - コメント、評価をしていただきありがとうございます!ご期待に添えるよう努力していく次第なのでよろしくお願いします! (2020年4月3日 22時) (レス) id: 676346443e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/qZN5vxyJ6V2/
作成日時:2020年2月24日 22時