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あれから数週間……
北山さんからの連絡は一度もないままだ………
「A、携帯気になるのは分かるけど そんなに張り付いてても仕事中だったら出られないんだから置いときなさいよ」
「………うん、でも 持ってないと落ち着かなくて」
さくらには北山さんの連絡先を聞いた事だけ話した
付き合ってもいないのに流れで家に泊めたなんて
何もなかったにしろ、さくらはいい顔しない
「今日の飲み会って藤ヶ谷さんに誘われたんだよね？」
「うん……そう。男だらけで花がないからって」
「………玉森くんと話せるかなぁ……」
「話せるんじゃない？隣にしてあげよっか？」
「とっ…隣は無理っ！せめて斜め前」
「位置、関係ある？」
「あるよ！Aだって北山さんと話すのに隣座れる？」
「うん……座れる」
「………そう。私とは違うみたいね」
営業部の飲み会を仕事終わりに控えて
もう心は完全に飲み会モードだ
「よしっ、決めたっ！今日は飲むっ！」
「えーっAがつぶれたら玉森さんとの仲は誰が取り持ってくれるのよー」
「藤ヶ谷さんじゃない？すぐ気づいてフォローしてくれそう」
「たしかに！誰が誰を好きとか、すごい敏感だよねー先輩自体は誰が好きなんだろう……彼女いるとか聞かないよね」
「そうね……たしかに。でも、彼女いないわけないわよ！あんなイケメンなんだから」
「誰がイケメンって？」
「「わっ！！！」」
気づくと予約されていた居酒屋の目の前だった
「藤ヶ谷さん、びっくりしたじゃないですか！」
「すごい話盛り上がっててそのまま通り過ぎようとするからさぁ」
「あぶなー、通り過ぎる所だった！あと2人、うちの部署の子たちに声かけたので全員で4人です」
「ありがと！俺、全員揃うまでここにいるから中入って」
「「はいっ」」
座敷に案内されて部屋のドアを開けると
「おーっ！！！Aちゃんじゃん！さすが藤ヶ谷！あいつやっぱ出来るやつだなぁ」
「うちの会社のトップクラスの美人連れてくるあたりが腹立ちますよねー」
「そりゃ成績も抜かれるわけだ」
すでにお酒が入っている営業部の人たちは
大声で笑っている
「Aさんっ、こっちどうぞ！」
玉森くんに呼ばれて側に座る
わざとさくらが隣になるように背中を押した
「私、あとの2人がちゃんと来れるか見てくる」
席を立つとさくらに微笑みかけた
ものすごく"行かないで"オーラを感じたけど
2人っきりで話せなければ
恋なんて始まらない
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作者名：ゆり | 作成日時：2019年3月30日 1時
