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「今日こそは……」
少しだけ残業をして出た会社
(このまま帰れば昨日よりは遅い時間にコンビニに着けるけど……)
ドキドキしながら電車に乗る
一度家に帰ろうか迷ったものの
ダメ元で直行することにした
(この時間で会えなかったら明日またもう少し遅い時間に来よう……って…考え方がもうストーカーじゃん…)
そんな自分に落ち込みながらもコンビニへ向かう
店内を見渡すと昨日とは打って変わって
ほとんど人がいなかった
適当にご飯を選んで店内をウロウロする
ドアが開くたびに王子じゃないかと
入り口を覗き込んでいた
「いらっしゃいませー」
店員さんの挨拶と
ガチャリとドアが開いた音で振り返ると
(…………王子?!?!)
一瞬頭が真っ白になった………
(ほっ………本当に会えた………///)
心臓がバクバク音を打ち鳴らす
「あれっ?こないだの……」
「あっ!こんばんは!先日はありがとうございました。やっぱりお会いしましたね」
「はははっ!そうですね」
「スーツ……って事はお仕事帰りですか?」
「そうです……俺、自炊とかそんなに得意じゃなくて」
恥ずかしそうに笑う姿に胸がキュンとする
(連絡先渡して誘わなきゃ………)
「あっ、あのっ!やっぱりこないだのお礼したくて……良ければご飯!一緒に食べませんか?」
「えっ?いいよいいよ、どうせ俺も同じ方向だったし 本当に気にしなくていいから」
「でっ……でも、私の気が済まないんですっ!すぐそこに美味しい飲み屋さん知ってるんでどうですか?」
「…………じゃぁ、お言葉に甘えよっかな」
(よかった………本当は連絡先聞いて後日改めてってつもりだったけど、まぁいいや)
手に持っていた食べ物の会計を済ませると
2人でコンビニを出た
時々、さくらと行く近所の居酒屋に向かって歩く
「美味しい飲み屋ってもしかして、海風?」
「そうです!行ったことありますか?」
「1回だけ!一人の時はコンビニが多いからさー」
「そうなっちゃいますよねー…私も一人だったらコンビニでお酒買って部屋で飲んだ方が気が楽とか思っちゃって、女子力が皆無なんですけどね」
「はははっ!分かる分かる、結構飲むんだ」
「えっと……まぁそれなりに……」
「あっ、そう言えば名前!聞いてなかったよね?名前なんて言うの?」
「AAです」
「俺は北山宏光。よろしくね」
(名前を知ることがこんなに嬉しかったなんて初めてだ……)
自然とにやける顔を隠しながら歩く
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作者名:ゆり | 作成日時:2019年3月30日 1時