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「絵麻といる時はともかく、私といる時はそんなんじゃありませんよ。どうせイライラしてますって」
あくまでも琉生さんの見解は誤りである。私はいつもジュリに冷たくしている。だから私といて、ジュリが幸せなわけがないのだ。
「そんなことない、よ?ジュリさん、本当はAちゃんとお話し、したがってる。ちぃちゃんと同じように、笑って、泣いて、怒ったりしたいって、言ってた」
しかしそれでも、琉生さんは自分の意見を曲げなかった。私の瞳を見て、真っ直ぐにそういう琉生さんの表情は、とても真剣だった。
私は一度、視線を琉生さんの膝下に落とし、リラックスしきっているジュリを見た。どうやら彼は、心地よさのあまりに眠りについてしまっていたらしい。小さないびきが、私の耳に響いてきた。
「……そっか。ジュリ、そんなこと思ってくれてたんだ」
私は琉生さんに聞こえるか聞こえないかの声で、ジュリを見つめながら、ぽつりとそう呟いた。
「……」
「……」
広い5階のリビングに、ほんの少し静寂が訪れる。聞こえてくるのは、ジュリの寝息と、私たちの呼吸だけだった。
それにより五感が刺激され、少しだけ敏感になってしまっている……そんな気がした。
琉生さんから、視線を感じる……。
私は、一度目を閉じ、大きく深呼吸をしてから、顔をあげ、琉生さんの方を向いた。
少し長い彼の髪は、ふんわりとしていて艶があり、ケアが行き届いている。また、これだけ近くで見つめているのに、毛穴が全く目立たないほど肌に透明感があり、思わず見惚れてしまう。
温厚で優しい彼の性格を、そのまま表しているかのようなその垂れ目に注がれる視線は、全く痛く感じない。けれど、その瞳は、私の内まで見透かしているようで、私は思わず息を呑んだ。
「ねえ、Aちゃん。本当は、ジュリさんの声……聞こえてるん、だよね」
……否、見透かして、いるのだ。
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ぷよぷよぷよん♪(プロフ) - 澪桜さん» コメントありがとうございます!最近ゲームに夢中になっておりまして…汗。数話分書き溜めてから更新しておりますので、書き溜めができないと遅くなってしまって…書き溜めと更新、頑張ります。応援ありがとうございます。 (2022年2月21日 14時) (レス) id: 5cb00a9bd1 (このIDを非表示/違反報告)
ぷよぷよぷよん♪(プロフ) - ほしにゃあさん» コメントありがとうございます!ブラコン、やっぱりいいですよね!お心遣い感謝いたします!更新も頑張ります! (2022年2月21日 14時) (レス) id: 5cb00a9bd1 (このIDを非表示/違反報告)
澪桜(プロフ) - かなり更新していないと見受けましたが続きが気になります!!更新、楽しみに待ってます((o(。>ω<。)o)) (2022年2月21日 12時) (レス) @page20 id: 8aa45553d4 (このIDを非表示/違反報告)
ほしにゃあ(プロフ) - 久しぶりに占ツク開いたらブラコンの作品があって嬉しいです! まだまだ寒い日が続きますので、お体に気をつけてください。更新楽しみにしてます! (2022年2月18日 18時) (レス) @page20 id: d132f4653f (このIDを非表示/違反報告)
ぷよぷよぷよん♪(プロフ) - 美姫さん» いつもご愛読、並びにコメントありがとうございます。最近忙しくてあまり更新できずすみません!応援を励みに頑張ります!ありがとうございます! (2021年12月3日 22時) (レス) id: 9b5091abe9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2021年8月25日 23時