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「おはよう、Aちゃん」
にっこりと微笑む琉生さん。
「琉生さん。おはようございます。どうかなさいました?」
「今日は式場行くから……母さんにヘアメイク頼まれてるし」
琉生さんの白い頬にかすかに赤みがさした。
「でも、まだ時間あるから、Aちゃんの髪もできたら、……って」
琉生さんのしなやかな指が、私の髪をすくように優しくかきあげる。
「今日、ドレス着るよ、ね?だったら、メイクも合わせなほうがいい……よ。
……やらせてもらっても、いい?」
(じゃ、じゃあ、琉生さんは私のためにわざわざ……)
不意に心臓がドキドキし始めた。
同時に、安堵感で胸がいっぱいになる。
予約した美容院は、行き慣れておらず、正直不安だったのだ。
「私は大丈夫です。むしろ、やっていただいていいんですか?」
対して、琉生さんが髪やメイクをやってくれるなら、普段の私を知っているし、ドレスにも合わせてくれるから安心だ。
「うん。店、先に抑えてた。
……断られなくて、よかった」
「じゃあ、お言葉に甘えさせていただきます。よろしくお願いします」
私が軽く頭を下げると、琉生さんはとても満足げな表情をした。
お昼少し過ぎに、私たちは式が執り行われる、都心のホテルに着いた。
宿泊施設だけではなく、チャペルや披露宴会場も用意された、とても大きなホテルだ。
(うわ……)
「す、すごいとこだね…」
タクシーを降りて正面玄関に入ると、いきなりゴージャスなエントランスホールが目の前に広がる。
その光景に少し度肝を抜かれたのか、隣にいる絵麻が小声で私に話しかける。
先ほど「私たち」といったのはそういうことだ。
絵麻の方も同じく、琉生さんと約束を取り付けてもらったらしく、家を出る時から美容院を出発するまで、行動を共にしていた。
「確かに」
一般の高校生には、ものすごく場違いな感じがして、少し足がすくんだ。
ドレスを着て会場に来たが、私服で来るという別の未来は考えたくない。
と、入り口にずっと立っているのも邪魔だし、不自然なので、とりあえず式が行われる会場の場所を探そうと、大きな館内案内マップに向かう。
(はぐれたら一巻の終わりだ)
と、よくないことを考えていたそのとき、
「あ、Aちゃん。ヤバすぎない、それ」
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ぷよぷよぷよん♪(プロフ) - 美姫さん» そう言っていただいて嬉しいです!ただいま書き溜めている最中ですので、また溜まったら一気に放出します!美姫さんのお声を励みに頑張りたいと思います!コメントありがとうございました! (2021年5月9日 23時) (レス) id: 89aa548621 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 最高に面白いです!!続きがとても気になります!更新頑張ってください!! (2021年5月6日 7時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
ぷよぷよぷよん♪(プロフ) - Kさん» ありがとうございます! (2021年4月29日 21時) (レス) id: 89aa548621 (このIDを非表示/違反報告)
K - 頑張ってください!応援しております! (2021年3月22日 2時) (レス) id: 0b64bc8b9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2021年2月12日 23時