94 ページ4
5階の玄関は開いていた。
奥の方からは音楽に混じって、賑やかな声が聞こえてくる。
「お、この歌いいよねー。最近よく聴いてるんだ」
「あ、俺もスキ。けど、歌詞よく聴くとそーとーエロくね?
坊主ってこーゆーの聴いていいの?煩悩がどーたらって問題になんねーの?」
「なるはずないでしょ、つばちゃん。そもそも、全ての音楽は宗教音楽が発祥なんだ。音楽は言葉が通じない相手にも訴える力があるからな。リズムが愛を伝えるんだな」
要さんは少し酔っているみたいだ。
いざリビングへやってくると、私たちはなかなかその輪に入ることができず、ダイニングから聞こえる会話に、耳を澄ませながら、ゆっくりとダイニングへ降りる階段へ向かった。
「何が愛だよ。……くだらない」
昴さんがボソリと言った。
「愛がくだらない?
何言ってんだよ昴。おまえ、あの子達のことが気になって仕方ないんじゃないのー?」
「……えっ!」
(……え?)
思わず足が止まった。隣の絵麻もそうだったらしい。
「そ、そんなこと……」
「あー、嘘つき〜。今日だって、あの子達が髪型変えたの、自分のためだとか思ってたんじゃないのか〜」
「ち、ちげえよ!」
本当は立ち去るべきだってことは分かっていた。
……でも、どうしても足が動かない。そればかりか、耳の鼓動がうるさい。
「じゃあさ〜、昴はあの子達のこと、どう思ってるわけ?ていうか、正直どっちがタイプなの?」
「いや、だから、それは……」
「言えない?ほーら、やっぱり気にしてるじゃない★
ねーどっちがタイプー?」
「だから違うって言ってんだろ!」
「何が違うんだよ?」
椿さんがそういうと、一瞬の間があってから、昴さんの怒鳴るような声が聞こえてきた。
「迷惑なんだよ!!」
その言葉が耳に届いたとき、全身の血の回りが止まったかのように、体が冷たく固まるのを感じた。
隣からどさりという音が聞こえた。
115人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぷよぷよぷよん♪(プロフ) - 美姫さん» そう言っていただいて嬉しいです!ただいま書き溜めている最中ですので、また溜まったら一気に放出します!美姫さんのお声を励みに頑張りたいと思います!コメントありがとうございました! (2021年5月9日 23時) (レス) id: 89aa548621 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 最高に面白いです!!続きがとても気になります!更新頑張ってください!! (2021年5月6日 7時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
ぷよぷよぷよん♪(プロフ) - Kさん» ありがとうございます! (2021年4月29日 21時) (レス) id: 89aa548621 (このIDを非表示/違反報告)
K - 頑張ってください!応援しております! (2021年3月22日 2時) (レス) id: 0b64bc8b9e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2021年2月12日 23時