102 ページ12
「なんの話です?」
「いや、ごめんごめん。
昨日母さんが言っていたんだよ。右京が心配してあれこれ言い出すだろうから気にするなって、言ってくれって。
さすがによくわかってるよね」
「雅臣兄さん……」
右京さんが言葉に詰まる。
「ねえ、右京」
雅臣さんの口調がちょっと変わった。
「母さんは自分のことは自分でやらないと気が済まない人なんだよ。
まして大切な結婚式じゃないか。だからやりたいようにやらせてあげようよ。ね?」
「…………」
一瞬、気まずい雰囲気になった。
「……そうですね。確かに母さんはそういう人でした」
右京さんがシンクの方に向き直る。
「雅臣兄さんの言う通りです。
ここは黙って見守るのが最善でしょう」
「うん。僕もそう思う。
……ところで、朝ごはん、すぐできる?」
「お腹が空いたんですか?」
「実はそれが目当てで帰ってきたんだよ。今日、日勤だから、そのまま病院にいてもいいんだけど、少し空いちゃってね」
「わかりました。すぐ出しします」
そう言って茶碗にご飯をよそう右京さん。
慌てて絵麻もお椀にお味噌汁を注いでいた。
そして私はキッチンカウンターの前に立ち、右京さんと絵麻が用意した食器などをテーブルに座る雅臣さんのところまで運んだ。
雅臣さんと右京さん。
朝日奈兄弟の長男と次男。
ふだん、家のことを取り仕切っているのは右京さんだ。
雅臣さんは病院勤めが忙しいこともあって、あまり家にいない。
だから、他の兄弟の面倒なんかも主に右京さんが見ていることが多い。
でも、雅臣さんはやっぱり『長男』なんだと思う。
美和さんにも信頼されているし、大きく家族を包み込んでいる感じがする。
雅臣さんは朝食をとり終わってから程なくしてリビングを出て行った。
それから続々と兄弟が起きてきて、みんなで朝食を取ることになった。
115人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぷよぷよぷよん♪(プロフ) - 美姫さん» そう言っていただいて嬉しいです!ただいま書き溜めている最中ですので、また溜まったら一気に放出します!美姫さんのお声を励みに頑張りたいと思います!コメントありがとうございました! (2021年5月9日 23時) (レス) id: 89aa548621 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 最高に面白いです!!続きがとても気になります!更新頑張ってください!! (2021年5月6日 7時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
ぷよぷよぷよん♪(プロフ) - Kさん» ありがとうございます! (2021年4月29日 21時) (レス) id: 89aa548621 (このIDを非表示/違反報告)
K - 頑張ってください!応援しております! (2021年3月22日 2時) (レス) id: 0b64bc8b9e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2021年2月12日 23時