九話 ページ10
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炭治郎 Side
俺たちはAと一緒に任務に向かうことになった。山奥に複数の鬼が出たそうだ。山についた頃にはもう日が暮れていた。
「鬼の色が濃くなってる……」
炭治郎「鬼の色？ Aは目がいいのか」
「そうなんです、人には人の、鬼には鬼の色があって、ふんわりと見えるんですよね」
「そうなのか！ すごいなあ！ 俺も鼻が利くんだ」
「俺は耳がいいんだよ！」
「伊之助様は微妙な空気の揺れも感じられるんだぞ！ すごいだろ！」
「皆さんそれぞれ優れた器官を持ってるんですね。鬼を探すのが楽そう！」
「──！」
突然、鬼の匂いが鼻をついた。少し先に、おじいさんの姿をした鬼がいる。
「この山に何の用じゃ？」
シワだらけの顔に鋭い目つき。まるで俺たちを軽蔑しているような目だ。
「鬼いいい！」
伊之助が飛び出しそうになったのをAが制し、話しかけ始めた。
「おじいさん、この山に住んでるの？」
「そうだ。お前らみたいな汚らわしい人間が入ってこないようにな」
「どうしてこの山を守ってるの？ 大事な思い出があるとか？」
「……なぜ襲ってこない？ お前らはわしを斬りに来たのではないのか？」
「無視しないで。何か大切な思い出があるからここにいるんでしょ？ 何があったの？」
Aは鬼と会話を続ける。一体どうして？
「ええい、うるさい！ 斬りにこないならわしから！ 血鬼術──」
「もう斬ったよ？」
「なっ……」
コトッ
鬼の頸が地面に落ちた。どうなってるんだ？
「お前！ いつの間に！」
「〈宇宙の呼吸・参ノ型 公転〉。話してる間におじいさんの周りをぐるっと回って斬ったんだけど、気づかなかった？」
「そんな……！」
鬼はホロホロと崩れ始めた。まさか会話の間に頸を斬っていたなんて。誰も気づかなかったみたいだ。
「でも、ここにいる鬼はおじいさんだけじゃないよね？」
「……あああああああああ！」
鬼は大声を上げて消えた。すると、突如鬼の匂いが強くなった。
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作者名：Rabbita | 作成日時：2020年5月9日 14時
