戸惑いと迷い�� ページ20
【二宮和也】
今日は智が、仕事で家を出てしまう日。
頼みの綱である智がいないという状況に、朝から不安で仕方がない。
支度を整え、玄関で靴を履く智を、あかねと一緒に玄関で見守っていた。
大「んじゃあ、行ってくるね」
ニ「智！頼むからなるべく早く帰ってこいよ？」
大「終わったら、すぐ帰るよ」
ニ「例え、これから一杯行かないか？とか、キミ〜これからご飯でもどうかね？とか言われても、絶対断って帰ってくんだぞ！」
大「誰だ、それ(笑)」
ニ「いいから、よっぽどの用事じゃない限り、誘いは全部振り払って、なるべく早く帰ってこいよ？いいな？」
大「分かった」
ニ「じゃあ、頑張って！」
大「ほい」
茜「さとち、いってらっしゃあい」
大「おうっ」
鼻の穴を広げてフンッと笑う智を、あかねと一緒にヒラヒラと手を振って見送った。
パタンと玄関のドアが閉まり。
ついに、あかねと二人だけの空間になった。
二宮和也、現在4歳児と二人きり。
どーしていいか、分かんないよ…
とりあえず。
遊んで遊んで攻撃が始まる前に、家事でもやっちゃいましょうかね…。
俺はテレビのリモコンを手に取って、子供番組をつけた。
ニ「はい、あかねはテレビ見ててね」
茜「パパはー？」
ニ「俺は、色々やることあるから」
茜「いろいろってぇ？」
ニ「あー、お皿洗ったり、洗濯したり、掃除機掛けたり」
茜「あかねもやるー！」
それは非常に困る！
ニ「いいからいいから、あかねはテレビ見てなさい。ね？」
茜「ぶ〜」
ニ「ぶ〜じゃない」
ほっぺたを膨らませてブーたれるあかねを、強制的にテレビの前に座らせて、俺はササッと台所へ逃げた。
ただでさえ好きでもない食器洗い(しかも只今増量中)を、溜息をつきながらやっていると。
茜「パパぁーー」
突然部屋から大声で呼ばれ、何事かと思って、急いでタオルで手を拭いて行った。
ニ「はいはい、どうしたっ！？」
茜「みて〜」
テレビの中の着ぐるみと一緒に、楽しそうに腰を振っているではありませんか。
ニ「…おお…上手上手」
適当に褒めてやると、あかねが満足そうな顔で、ニヒーと笑った。
俺も子供の頃、散々お世話になったが。
今だけは、テレビの中で呑気に腰振ってる着ぐるみを、張っ倒してやりたい。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2018年5月19日 14時
