俺たちの神様�� ページ40
俺の視線に気付いたニノが、「何？」て顔で俺を見た。
雅「ニノって、美人だよね」
和「はあ！？全然嬉しくねーよ！」
雅「俺は羨ましいけどなぁ〜」
和「だいたい、美人て男に使う言葉じゃねーだろーが」
雅「そうかなぁ？俺は男の人も美人だなって思うけどな〜？」
和「例えば？」
雅「う〜んと…大ちゃんとか！」
和「…まあ、分からなくもないけど」
雅「あと、高校の時同じクラスだった奴で、なんて名前だっけな〜？えーと…う〜んと…あっ、そうだ！山田っ…」
和「シッ！」
突然ニノが話を遮って、人差し指を立てた。
とっさに俺も黙り込む。
その場が静まり返った。
何かの音が聞こえる。
遠くから伝わってくる地響き。
ヘリコプターの音だ。
俺とニノは目を合わせ、すぐに立ち上がって波打ち際の方へ走っていった。
炎天下の砂浜の上で、360度見渡した。
海側の空から、だんだんと小さなモノが近づいてくる。
紛れもなく、ヘリコプターだ。
俺達は間隔を少しあけて横並びになり、必死にソレに向かって手を振った。
聞こえるはずもないけど、精一杯の声も上げて。
だけどヘリコプターは、俺達の島から少し逸れて飛んでいる。
このままでは気付いてもらうことも出来ず、通り過ぎてしまう。
どうしようっ・・・
何か大きな音でも出せないだろうか。
周りをキョロキョロと見回した。
ふと目に入ったのは、ニノのズボンと腰の間に挟んである拳銃。
そうだっ・・！
俺はニノのそばに駆け寄り、ニノの腰から拳銃を抜き取った。
和「え、ちょっとっ…雅紀っ！」
俺は再びニノから離れ、ヘリを見つめながら、拳銃を持っている手を上に向かって伸ばした。
そして、一か八かで空に向かって引き金を引いた。
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作者名：さくら 樹里
| 作成日時：2021年2月6日 0時
