狂人島【オワリの始まり編】 (ページ26)

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友との決別② ページ26

ニノもようやく周りにいる虫を振り払ったところで、二人で目を合わせ、無言で頷いた。

すぐに、この場を離れようと。

しかし、翔ちゃんだけはいまだに地面に座り込んだまま、潤くんを抱き締めている。

仕方がなかったとはいえ、自分の手で親友を殺してしまったのだから無理もない。

だけど、このままでは生き残っている俺達でさえ危うい。

早くこの場から逃げようと、俺は翔ちゃんのそばに駆け寄って腕を掴んだ。

雅「翔ちゃん、早くっ！！」

本当は、この場に大ちゃんと潤くんを残して逃げるなんて嫌だ。

だけど、これ以上親友を失いたくない。

大ちゃんの身体はもう、無数の虫で覆い尽くされている。

潤くんの脚にも、何匹かの虫がとまりだした。

もうためらっている時間はない。

翔ちゃんの腕を強く引いた。

無理矢理にでも連れて逃げようと思った。

そんな俺の手を翔ちゃんが振り払った。

雅「翔ちゃん、何してんのっ！！早く逃げよっ！！」

もう一度、翔ちゃんの腕を掴んで強く引いてみたけど、翔ちゃんは動こうとしなかった。

そして、僅かに頭を横に振った。

翔ちゃん・・・？

翔「…ごめんっ…雅紀、ニノっ…」

翔ちゃんは下を向いたまま、声を震わせて言った。

雅「翔ちゃん…ごめんて……」

翔「…悪いけどっ…一緒には行けねぇわっ…」

雅「えっ…」

翔「…俺もっ…刺されちゃったわっ…ハハッ…」

そう言って顔を上げた翔ちゃんは、涙を流しながら悲しげに笑っていた。

翔ちゃんのすぐそばには、動かない虫が1匹落ちている。

そん・・な・・・

嘘でしょ・・・しょおちゃん・・・

絶望感で目の前が真っ暗になった。