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「ってことがあったんだよね」
その日の閉店後、レジ周りの掃除をしながら、雑談の流れで５人に佐々木さんの話をする。
「え？今日佐々木さん来てたの？」
明日の仕込みを終えた郁人が、驚いて目を丸くする。
いつもは、土曜日に来ると分かっているので、来店したら挨拶できるようにと扉を気にしているらしい。郁人は、こういうところが律儀だなあ、と思う。
「しかも１つ、だったんだ」
「いつもは２つなのに、今日は１つ…あっ！」
塚ちゃんが、閃いた、みたいな顔をしてぽん、と手を打つ。
「ダイエット中なんじゃない！？」
「…バカ、１人で２つ食ってたんじゃないだろ」
誰もがスルーしかけたその発言に、郁人がかろうじてツッコミを入れる。
「えー、そんなの分かんないじゃん。いつも土曜日に来てたんだから、もう一つは明日食べようっと！日曜日のご褒美！みたいな？」
塚ちゃんが、何故か顎に両手の拳を当て、女の子みたいな口調で言う。
「でも、最近ちょっと太り気味…しょうがない、１つで我慢しよっ！って」
「いや佐々木さんは男性だから」
とっつーのツッコミも、やや的外れな感じがしなくもないけど。
「だから、佐々木さんはいつも、誰かと2人で、ケーキ食ってたと思うよ」
郁人が塚ちゃんを諭すように言う。何だか自信がありそうな口ぶりだ。
「どうして？」
「佐々木さんがケーキを買いに来るようになって初めの頃、フォーク2つ入れてくれって頼まれたんだよ。俺、よく覚えてる」
郁人の言葉に、全員が「え？」という顔をした。
私も他の人も、何回かレジを担当したことがあるけれど、フォークを頼まれたことは一度も無かったし、実際、入れて渡したことも無かった。
それに、うちは持ち帰りのケーキにフォークを付けることは無い。あるのはプリンやカップケーキ用の小さいプラスティックスプーンだけ。
「え、それで、どうしたの？」
「すみません、フォークはお付けしてなくて、って断って、代わりにプリン用のスプーン入れた。それでいいって言うからさ。次に来たときは、もう入れなくて大丈夫って言われたけど」
今の話から察するに、やっぱり佐々木さんは、誰かと2人で、あのイチゴショートを食べていたことになる。
しかも、フォークを付けてくれと言ったということは、この店を出たその足で家ではないどこかへ向かっていたということだ。
毎週毎週、飽きもせず。
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ろっか(プロフ) - お話めいっぱい書きすぎてあとがき入れられませんでした！！この計画性の無さ！！なのでコメ欄で失礼します。お読み頂きありがとうございました！あとがきはTwitterにでも載せます(笑)…ろっか (2019年12月27日 0時) (
レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろっか | 作成日時：2019年11月3日 16時
