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「…おいしい」
「ふふ、でしょ」
良亮は、得意げににんまりと笑って、「もうひと口いる？」なんて首を傾げる。
「おい！ずるいぞA！はっしーのあーんだなんて！」
「郁人うるさい。良亮、もうひと口ちょーだい」
「自分で食えよ！！」
隣できゃんきゃん言っている郁人を無視して、差し出されたケーキをぱくりと食べる。うん、やっぱりおいしい。
「また今年も、頑張ろうね。みんなで」
良亮がにっこり笑うと、部屋の中がふんわりと温かくなったような気がした。
・
「こんばんは…」
その男性がやって来たのは、閉店間近の、もうそろそろショーケースの中に残った数個のケーキを片付けてしまおうかと考えていた時だった。
「いらっしゃいませ」
そう声を掛けてから、どこかで見覚えのある顔だな…と思う。
「あの」
ショーケースを全く見ずに声を掛けてきたその男性に、何かの問い合わせかな？と思う。
もしかして、イベント関係の方？支配人は今、所用で外に出ているはず。
「先日はすみませんでした！ご迷惑をおかけして」
いろいろと考えていたところに、突然男性が勢いよくぺこりと頭を下げたので戸惑う。
「え、えっと」
「あぁ、すみません。覚えてなんかいませんよね」
そう言って自嘲気味に笑う男性に、しまった、という思いになる。
お客様か、以前お世話になった方か…頭の中の記憶を探る。
と、そこにとっつーがやって来た。
「…あれ、あなたは」
「あ、お兄さん。先日は、ご迷惑をおかけしてすみませんでした！」
再び男性がぺこりと頭を下げる。
とっつーは、ふんわり笑って男性の肩に手を置いた。
「お気になさらず。あのようなことは度々ありますから」
「…ありがとうございます」
そんな二人の様子に、私が頭の上にハテナを浮かべているのが分かったのだろう。
とっつーが私に向かって優しく言った。
「ほら、Aちゃん、先日の、ガトーショコラをキャンセルされた方」
その言葉で、あの日の映像が頭に蘇る。
『もういい』
去っていく女性の後ろ姿と、ビンタを食らって肩を落とす、目の前の男性の横顔。
「あ、あの時の」
ぽん、と手を打つと、「思い出して頂けて嬉しいやら恥ずかしいやら…」と、その男性は頭を掻いた。
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ろっか(プロフ) - お話めいっぱい書きすぎてあとがき入れられませんでした！！この計画性の無さ！！なのでコメ欄で失礼します。お読み頂きありがとうございました！あとがきはTwitterにでも載せます(笑)…ろっか (2019年12月27日 0時) (
レス) id: 2af5960142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろっか | 作成日時：2019年11月3日 16時
