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第16話 ページ16

すっかり晴れた窓と


トントントンと



リズムの良い昔が俺を起こす。



零さんはどこで寝たのかは知らないけど



よく眠れたか?



キッチンにたってた。



おはよ。朝メシできてんぞ、顔洗ってこい



んーと体を伸ばして洗面台に向かう



甘い香りの横を通り過ぎると


腹の虫が疼くのだ


朝から卵とは贅沢な…



お前ちゃんと食ってんのか??


冷蔵庫ん中空だったぞ?



しかもなんだあのカップ麺の山は…



呆れた顔でわけーのに体壊すぞ?


と気遣ってくれた。



あー。うん。作る暇とかなくて…


自炊とかむり。



料理くらい出来ないとモテねーぞ



はは、確かに…



これからまとめなくてはならい荷物をみて、


ここを出るのかって少し寂しく思った。



ありがとうございましたー



最後のお客さんを見送って片付けに入る



テーブルを消毒していると奥からママが



おつかれ様、はい今月分と給料を手渡される。



あそうだ。


あのね報告遅れたんだけどね。


みんな聞いて…



ん?と顔を上げると


もじもじと手をからませていた



あのね。しばらくここを畳もうと思って



え!?なんでですか?!



勘弁してくれ、そんなことされたら…


実はね…前の旦那が寄り戻したいって〜♡



ほんとに大阪行かなくちゃならなくなる…



彼が「やっぱエリじゃなきゃダメなだ



俺とやり直してくれないな」ってー!!



キャー!!あ、エリって私の名前ね



いやでも長いことやってたんですから



畳むことはないんじゃあ


そうよねぇもうかれこれ20年


ここでやってきたけど…


でもこんなにも嬉しいことは無いわっ!!



しかも彼、


今は真面目に社会人しててね



あの頃は詐欺に騙されて


借金抱えてもー大変だったのに…はぁ。


真面目に働いてきたおかげね。


神様は見てるんだわっ♡



は、はぁ…



ダメだ。こんなに嬉しそうなママを見ちゃ…


良かったですねママ



ありがとう英知くん。



Aちゃんもありがとう、



私の身勝手だけど…



もう少し一緒にがんばりましょうね




よろしくお願いします



お願い、します…




どうしよう…仕事なくなった

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作者名:敬語ペンギン | 作成日時:2019年12月19日 19時

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