6月11日 ページ3
.
手をAの肩まで伸ばしてこっちに引き寄せた
小さな声をあげて俺の胸元に手を置く
.
小さくて柔らかい体
俺のものにしたくてたまらない
.
「お、沖田さん！？」
「・・・俺の心臓の音、聞こえんだろィ？」
「え？」
.
「雨に負けないくらいの音が、聞こえるだろ」
「・・・ぁ」
本当だ、と小さく言っておとなしく抱きしめられる
.
「あんたが好きだから、こんな事になるんですぜ
責任とって下せェ」
「せ、責任なんてっ」
「俺じゃダメ？」
「・・・沖田さん」
どうすればいいか分かんないくらいあんたが好きだ
A以外ありえない
そんくらいあんたに惚れてやす
.
.
「わ、私は・・・」
「・・・私は？」
「・・・ぇ、と・・・私・・・」
口をもごもごさせながら一生懸命喋っている
そんな彼女が愛くるしい
.
.
「わ、私、沖田さんのこｔ「総悟ォォォォ！！！」
え゛
.
「てめぇ、どこほっつき歩いて・・・え？」
「・・・土方・・・」
なんでてめぇが来るんだよ(怒)
.
「お取込み中なんですけど、後にしてもらえますか土方さん」
「何やってんのお前！！」
「見ての通りラブラブしてんでさァ」
「ち、違っ」
腕の中で暴れだす彼女をもっと力強く抱きしめた
.
「警察がんな事してんじゃねぇ 治安が乱れる
てかもう乱れてる」
「ちっ うるせぇ野郎でィ」
名残惜しそうにAを解放してやった
あぁなんで土方は生きてるんだろう
.
.
「お、沖田さん、私・・・」
「？え？」
「私、あなたの事っ・・・」
俺を見つめる真っ赤な彼女は口をパクパクさせている
声が小さいが、なんとなく、分かった気がした
.
.
「・・・聞こえねぇからもう一回言って」
「！さ、さようなら！！」
雨の中小走りで俺の横を通っていく
あ、俺の隊服・・・まぁいいや
.
.
「聞こえないなんて嘘でィ」
「あ？何だって？」
「あ、土方さんにお土産でさァ」
「死の予感しかしねぇな」
.
かすかに聞こえた、あいつの震えた声
『好き、です』
.
聞こえないふりをし続けよう
もう一回を、聞くために。
.
.
.
End...
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 18人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おはなののか | 作成日時：2016年3月28日 17時
