【２１】盲深 Ｎ ページ21
「えっ？」
と思わず声に出してしまったことを、瞬時に後悔する。
まったくもって予想外だ。
いや、それよりも動揺の隠しきれない現状からどう切り返すか…
そんな算段をする俺を見て、マネさんはもう一度息を小さく吐く。
「でも、この部屋というわけではないですよね。
この局の一部の場所、ということでしたよね。
…ご存じだと、思いますけれど」
…見抜かれている。
直観的に悟る。
「…そこまでは知ってるんですよ〜 でもそのピンポイントな場所は
翔さん、俺らも連れてってもらってない、というか。
ヒミツな感じなんですよ」
ギリギリだな。
我ながら苦し紛れだと自覚しつつ、言葉をつなぐ。
でも。
「………」
すぐに言葉を返してこないマネさんに、思わず顔を合わせると、
悲しみの中に苦しさが混じった…切ないと表現すべき顔をしていた。
その意味を理解しきれない俺に、
「みなさんは…知っているはずですよ。
私よりも、深く。」
さらに眉間のしわを深くし、俺の目を見て、はっきりと言った。
「私の口からは、はっきりとは申し上げられません。
さしでがましいですが、みなさんが辿りつかないといけないことなのだと思います。
では、そろそろ時間なので、向かいますね」
マネさんが出ていくドアの音が、まるでずっと遠くから聞こえる。
俺は、
俺らは
知っている？
「…んなんだよ、なんだよ！」
拳を思い切り机に叩きつけるけど、
その音さえも遠くから聞こえる。
マネさんの言葉が、俺の五感を奪っていた。
ラッキーアイテム
革ベルト
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 180人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こう(プロフ) - 紗音様 わわわ、また感想をいただけるなんて！！ありがとうございますっ！本当紗音様のコメントに励まされてます。次節作りましたので、よろしければまた読んでやってください (2011年11月9日 1時) (
レス) id: 44b4e6b957 (このIDを非表示/違反報告)
こう(プロフ) - 凌央様 感想をありがとうございます！冗談ではなく、凌央様のお言葉に涙腺ゆるんでしまいました…本当にありがとうございます！最後まで読んでいただけるようなお話にしてまいりますので、どうぞお付き合いください！ (2011年11月8日 0時) (レス) id: 44b4e6b957 (このIDを非表示/違反報告)
こう(プロフ) - 舞姫様 か…かんでいらっしゃる！（笑）うれしすぎます〜そのお言葉でご飯３杯いけます（笑）まだ何山かありますので、ぜひまた叫びに来てくださいませっ☆ありがとうございます！ (2011年11月7日 23時) (レス) id: 44b4e6b957 (このIDを非表示/違反報告)
こう(プロフ) - はるこ様 感想いただきありがとうございます！吸い込まれていただけているなんて…本望ですっ（笑）夢から抜け出すのはちょっと先になりそうですが、はるこ様の目でぜひ見届けてやって下さい！ありがとうございます！ (2011年11月7日 23時) (レス) id: 44b4e6b957 (このIDを非表示/違反報告)
紗音 - 翔ちゃんからのメールの内容気になる(≧∇≦)謎だらけですねｗｗ更新楽しみにしてます！ (2011年11月7日 23時) (携帯から) (レス) id: 6c3aa47080 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こう | 作成日時：2011年10月19日 1時
