17-3 ページ47
「これは決定事項だ」
薊の演説から間もなくして、すべての研究会やゼミに解体宣告がなされていった。
丼物研究会、郷土料理研究会、汐見ゼミ…
「学園内唯一の寮施設、20年ほど前に遠月学園から離脱、独立採算制を貫いている。文句無しに粛清対象だな。
この寮を潰す、遠月には必要無い!」
そして、極星寮……
そう威圧的にやって来たのは、大勢の傘下を引き連れた叡山だった。
「極星寮を…潰すだって…?」
「その通り…当該建築物と土地は中枢美食機関に接収される。要はお前らの物じゃなくなるって事だ。」
『待ってくださいっ!どうして寮まで?!』
「叡山先輩!」
そんな必死に抵抗を試みるAをかばうように、創真の鋭い声が響いた。
「まぁ立ち話も何だし、茶でも飲んでって下さいよ!」
「『……ん?』」
しかし後に続いた呑気な言葉に、一同はポカンとしてしまった。
「…で?どーしてこの寮も潰されなきゃいけねーんすか?ウチは独立国家みたいなもんだって聞いてるんすけど……」
「理由は正にそこなんだよ」
「へぇ…?」
「学園内に中枢美食機関以外の自治組織がある事が問題なんだ。
頭は一つで充分、それがこちら側の決定だ。」
そう言うと叡山は、こちらを嘲笑うかのように書類を雑に投げ渡してきた。
「この書面に退去の期日等が書いてある。まぁ安心しろよ。素直に従っとけばこれからも遠月の生徒でいられるんだ。」
「ちょっといいっすか?
寮を潰すって決定…まだひっくり返せるんじゃないすか?例えば…
食戟で。」
対する創真は、挑発には乗らず冷静に答えた。
しかし叡山は、まるでその言葉を待っていたとばかりに不適な笑みを浮かべた。
「確かにその通り。食戟を行い勝ったならどんな決定でも覆る。
現に他の団体からも、食戟の申込みが殺到しているようだ。
だがそれは、あくまでこちらが受ければの話だ。
こちら側に受ける責任は一切無い。」
『……』
「…ただ、俺は勝負を受けてやる事に決めた。」
「「!!」」
その言葉に極星勢は希望を見いだしていたが、Aはどこか腑に落ちなかった。
『……受けなくてもいい食戟なのに、どうしてですか?』
「まぁ、相手の意を汲んでやろうと思ってな?
……ちょうどいい"見せしめ"になるだろう。
今日早速、食戟の予定が入ってる。
その結果を見てまだやる気が萎えなかったら、好きにかかってきていいぜ?」
そう言ってニヤリと笑うと、叡山は寮を去っていった。
297人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「逆ハー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
篠。(プロフ) - ゆかりさん» タクミくんもカッコいいですよね〜(*´ー`*)後に活躍してもらいますね!!笑 (2019年9月17日 15時) (レス) id: 77342cf851 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 篠。さん» タクミくんとの絡みもきになるところです! (2019年9月16日 22時) (レス) id: 9654438337 (このIDを非表示/違反報告)
篠。(プロフ) - ゆかりさん» これからオリジナル要素が濃くなるので、原作と流れは同じですが、表現の方法や原作に描かれていない場面の設定などによって、見え方が変わってくると思います!楽しんでいただけると嬉しいです(*´・∀・`*) (2019年9月14日 19時) (レス) id: 77342cf851 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 原作と少し違うのが良いです! (2019年9月13日 22時) (レス) id: 9654438337 (このIDを非表示/違反報告)
篠。(プロフ) - ゆかりさん» ふふ、気合い入れて頑張りまーす(* ̄ー ̄) (2019年9月8日 22時) (レス) id: 77342cf851 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:篠 | 作成日時:2019年6月15日 23時