72話 ページ23
岳斗side
「とりあえず……岳斗と月見は残すとして、他の人には死んでもらわなくっちゃねー」
「は……? おい待て、なんで俺の名前知って____」
「そーれーはー……全員皆殺しにしてからの、お・た・の・し・み ♪ 」
倒れているシンに左腕に付けた大砲の銃口を向け、銃口に先ほど放たれた光と同じものが現れる。
「!」
「シン!! 」
聖はシンを助けようとするが、首に当てた剣が少しだけ首に食い込み、そこから血が出る。
「っ……!! 」
「黙ってお前は見ていろ。大事な相棒が殺される瞬間をな」
「この野郎っ……!! させるかぁ!! 」
俺は月見から離れ、フレアスブレイドを構えて猫耳帽子に向かっていく。
「! 岳斗!! 」
それを見た大和は、密かにニヤリと笑った。
「……シャドウギア、オーバーレイヴン」
そう呟くと、大和の髪は真っ黒に染まり、首元にある印の様な物に黒いオーラが纏い、目から黒い光を迸しりながら月見の横を走り抜ける。
「! あれは……! ダメッ!! 逃げて岳斗!! 」
月見は声を張り上げ危険を知らせるが、俺の耳には届いていなかった。
「シンから離れろ!! ブレイダー殺____」
フレアスブレイドを振り上げようとすると、背後から急に切られた様な衝撃が走る。
その衝撃で前のめりに倒れ、倒れる時に背後を見ると、そこには黒い長剣を振り下ろしていた大和がいた。
「俺が居るのを忘れてんじゃねぇよ、クズが」
「くっ……この……! 」
背中から血を流しながらも、腕を使ってシンに近寄ろうとするが、大和に頭を地面に力強く打ち付けられ、髪を掴んで強制的に頭を起こされる。
「黙っててめぇはあいつが死ぬ姿を見てろ。助ける事をせずに見殺しにした仲間としてなぁ……! 」
悪魔の様に耳元で囁く大和を口から血を流しながら睨みつける。
「ふざけんな……てめぇ……! 」
「それじゃ、さようなら。子猫さん」
大砲には十分な光が溜められており、その光を放とうと先ほどより眩く光り出す。
「っ……すまんでござる……聖……みんな……」
シンは諦めがついたかの様に顔を伏せる。
「やめろ……シン……!! シンッ!!!!! 」
聖の叫び声と同時に、無機質な銃撃音が鳴り響いた。
____だが、攻撃を受けたのは猫耳帽子の青年の方だった。
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