プラチナの王子様 (ページ10)

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「あのっ、陰険っ、教師めっ！」

ベーコンを滅多刺しにしながらジニーがく。
昼食は専らスネイプの悪口に費やされたが、その内容のほとんどがハリーについてだったことに真緒は気づいた。

「毎回あれじゃハリーが可哀想」、「よく耐えてる」、「ハリーばかりこんな目に」等、自身が攻撃されたことは何ら気にしていないようにとれる。

「ジニーってハリーが好きなの？」

思ったままに聞くと、ジニーは真っ赤になった。

コリンが驚いたように真緒を凝視した。

「そりゃ、ジニーもハリーが好きに決まってるよ！真緒は嫌いなの？」

「そんなことないわ、ただ…」
(私の聞きたかった〝好き〟は、コリンのとは違うんだけど…)

真緒は肩を竦めて、一足早く昼食を終えた。

「また、後でね」

二人にひらりと手を振って、変身術の本を小脇に抱え、真緒は中庭へと向かった。

目ぼしいベンチを見つけた真緒は、校庭の大きな時計を確認した。
(よし、あと30分ある…)

そしてベンチに腰掛けて本を開こうとした、その瞬間だった。

「やあ真緒、ホグワーツはどうだい？よりによってグリフィンドールとはーーー、災難だね」

本気で〝災難だ〟と思っていそうな顔のドラコが何処からか現れた。

「そうでもないわ」

「まあ、ハッフルパフよりはマシかなーーー困ったことがあれば、僕が助けてやろう」

「…考えておくね」

魔法薬学の授業を受けた直後の真緒にとって、ドラコの偉そうな態度はどうも先ほどのスネイプと重なり、不快な気持ちになった。

「何だよ考えておくって」

ドラコは納得いかないような顔でぶつぶつと呟いていたが、真緒はその色素の薄い瞳を見ながら思い出したことがあった。

「ねぇ、どうして無視したの？」

「何のことだ」

「昨日。私、貴方に手を振ったのに」

真緒の咎めるような口ぶりに、ドラコはうっと言葉を詰まらせた。
自覚はあったらしい。

「グリフィンドール生相手にヘラヘラ手なんて振ってられると思うか？」

「やっぱり。スリザリンじゃなかったから怒ってるんだわ」

「別に怒ってなんかない、君だって汽車で、スリザリンが良いって言ったじゃないか」

「心細かったから、誰か〝知り合い〟と一緒が良いと思ったからよ。グリフィンドールになったから冷たくするなんて、間違ってるわ」

真緒が語気を強めて言うと、何故かドラコは笑みを浮かべた。

「つまり君は、僕に冷たくされて寂しかったわけか」

「え？」