プラチナの王子様 (ページ30)

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苦々しい顔のままだが、相変わらずモップはバトン代わりとなっている。

「僕がどういう言い方をしようと関係ないだろ」
「なら、私が誰と友人でもドラコに関係ないわ」

真緒が憮然と言い返すと、ドラコは苛立ったような顔になる。

「生意気言わずにーーーおい、戻せ」
「え？」

ドラコが顎で指す方向には、先程見たばかりの黒いマント。
真緒は慌てて元のサイズに戻そうとするが間に合わず、更に慌てるあまりモップを勢いよく飛ばしてしまった。

がつん！

大きな音を立てて天井にぶつかったモップは、そのままやって来たスネイプ先生の頭にクリーンヒットした。

「…グリフィンドール10点減点。監督不行き届きでスリザリンも1点減点」

おでこが赤くなっているスネイプ先生の姿に、堪えきれずに真緒が吹き出した。
これはやってしまったな、とドラコが把握するより早く、スネイプ先生が地を這うような低い声と共に、最終宣告を告げた。

「ーーーー君に一週間、追加の罰則を与える」

「そんなっ！」

真緒が情けない声をあげ、ドラコに助けを求めるかのように視線を向けた。
頼りにされたいとは思ったが、今の状況は違う。

ドラコが助けないのを恨めし気に一瞥した後、真緒は連れて行こうとするスネイプ先生に噛み付くように口を開く。

「信じられないわ、罰則を受けて減点されたのにーー」

「我輩としてはーー教師に口答えする君の神経のほうが信じられんがね、土御門」

(全くだ…)

ドラコは果敢にスネイプ先生に挑む真緒の神経を疑いながら見ていた。

「じゃあドラコだって追加の罰則がいると思います！」
(おい、なんてこと言うんだ！)

ドラコは心の中で叫ぶが、スネイプ先生は表情を変えずに真緒に問いかけた。

「モップを投げ飛ばして人の頭にぶつけたのは、誰だね？」
「……私、です」

「再考の余地はない」

項垂れた真緒は遂に諦めたようだ。

「あ、次の試合頑張ってね！」と半ば引きずられながら連行される真緒の言葉にこくりと頷いて、見送った。

(結局、絶交宣言は撤回ってことで良いのか…？)

黒い背の高いマントと、揺れる黒髪を見送りながらドラコは頭をひねった。

fin.6