プラチナの王子様 (ページ29)

今日:1 hit、昨日:23 hit、合計:207,254 hit

6-7 ページ29

「そうじゃないわ！ドラコが、平気で穢れた血と言うことが嫌なの。でももう良いの、態度が悪くても根は優しいなんてーー」

「まさかとは思うけど、君ーーー僕に対して勝手に期待して、勝手にショックを受けて、怒ったり泣いたりしてるって？」

「そうよ。何か問題でもある？」

「大有りだ！振り回される僕の身にもなってみろ！僕がどれだけっーーどれだけ！親切にしてやったと思ってるんだ」

ドラコが興奮するあまり大きな声で言った。

「大げさよ。普通よりちょっと親切ってくらいでしょ」

「いいか？僕は誰にでも親切にするわけじゃない」

「分かってるわ」

指差して言ってきたドラコに、ふんと鼻を鳴らした真緒は、最後の一滴までしっかり吸い終えて、モップを持ち上げて微笑んだ。

「スコージファイ」

モップを清められるのを見つめながら、ドラコは真緒の涙が収まっているのをじっと観察していた。

「ねえ、終わったわ。どうしたらいいの？」

「ーー先生が来るだろうから、待ってれば良いんじゃないか」

待つという提案に些か不満気ではあるが真緒は頷いた。
ドラコは、暇そうにモップを弄び始めた真緒を見つめた。

(出会ってその日に仲良くなったのに一週間で突然絶交宣言をされて、二カ月後に今度は追いかけてきだと思ったら、怒って泣いて、おまけに罰則ーーー振り回されて、溜まったもんじゃない…)

ーーーなのに、この状況を楽しんでいる自分がいた。

「ねえ見て、レデュシオ」

そう言ってモップを少しばかり小さくした真緒がくるくると器用に回す。

「バトントワリングっていうのよ、知ってる？」

「さあな、どうせマグルのスポーツだろ」

おざなりに答えながら、ドラコは真緒の顔をじっと見た。
黒曜石の瞳が、小さな沢山の光を宿して輝いているーーーこの瞳は、見る角度や光の加減でいろんな色を宿して見えるのだ。

モップーーもはやバトンにしか見えないそれをひょいと投げて、くるりと回ってキャッチした真緒を眺めていたドラコは、手で彼女を呼んだ。

「君にチャンスをやる」
「え？」

「さっききちんと僕にお礼を言いにきたから、今後の君の態度次第ではーーこれからも親切にしてやっても良い」

「…結構よ、他にも親切にしてくれる友達はいるから」
「まさか穢れた血やあのポッターと取り巻きのことじゃないだろうね」

「そのまさかよ。それに、その言葉は、私の前で、使わないで」

真緒が苦虫を噛み潰したような表情で言う。